福井県の東尋坊は、自殺の名所として知られていますが、この東尋坊の断崖で、自殺企図者に声をかけて、多くの命を救っている人たちがいます。
その活動を行なっている団体は、「NPO法人 心に響く文集・編集局」。その代表が、元警察官の茂幸雄さんです。
茂さんは警察官時代に、東尋坊の海岸で大勢の身投げ死体に遭遇し、これだけ自殺者がいるのに、地元で何の対策も取られていないことに疑問を抱きました。
そして、東京からやって来た、ある年配カップルの自殺を防ぐことが出来なかった体験をきっかけに、東尋坊での自殺防止活動を2004年から仲間の人たちと続けています。
昨年、私はメールを通じて、茂さんと連絡をとらせていただきましたが、昨年末までに、640人もの自殺未遂者の命を守り、2018年は31人の命をつなぐことが出来たと知らせてくれました。
茂さんたちのNPOが行なっている活動の特色は、自殺企図者への声がけ、傾聴だけでなく、福井県内での仮住まいの提供、時には家族・職場への同行といった、一人一人の再出発への支援活動にあります。
茂さんたちの活動により、東尋坊における自殺者は年々確実に減少しているそうです。
私が行なっているカウンセリングの目的もまさに、自殺企図者のつらい気持ちや悲しみを受けとめて、寄り添うことで、その人のかけがえのない命をつなぐことです。
茂さんの次の言葉が、私のカウンセリングの根幹にもなっています。
『自らの命を断とうとする彼らは「死にたい」のではなく、「死にたいほど、苦しい」のです。その気持ちを他の誰かに分かってもらいたいんです。
心に響く優しい言葉をかけてもらいたいのです』
今年、まだ行ったことのない東尋坊を訪ねる旅をしたいと思っているこの頃です。
NPO法人 心に響く文集・編集局
http://toujinbou4194.com/index.html
カウンセリングサロン ぱすてる