以前にこのブログで、カウンセリングと人生相談のちがいについて書いたことがあります。
人生相談とは、いわゆる新聞や雑誌、ラジオといったマスメディアを介した人生相談のことで、カウンセリングとは大きく異なる点を明らかにしてみました。
今回お伝えするのは、悩み相談…メディアを通さない、日常会話やSNSを通じての悩み相談と、カウンセリングとの本質的なちがいについてです。
なぜこのようなテーマを書こうと思ったのか。
私は現在、主にホームページとTwitterを通じてボランティアで無償のカウンセリングをしております。(追記:2021年2月から、有償になりました)
傾聴カウンセラーを名乗り、活動を続けることで、カウンセリングのご依頼やお問い合わせを日常的にいただくようになりました。
無料という気安さもあるからでしょうか。TwitterのDMやLINEを通じて、カウンセリングの形とは明らかに違う、悩み相談や質問、連絡がたびたび入るようになったのです。
私は職業としてカウンセリングをしているわけではないので、型にはまらず自由に活動したいと思い、そのような相談や質問、連絡も決して拒否することなく、お聴きしたり対応をしていました。
また活動の柱として、自殺の未然防止を掲げているので、死にたいという悩み、苦しみを受けとめるために、時間帯は限られるけれども、いのちの電話の個人版として、なるべく制約を少なくして活動したいとも思いました。
しかし、時間外の相談や、DMからの気まぐれのような相談を受けているうちに、ふだん予約制にしてカウンセリングをおこなっている活動の意味を問い直す必要がでてきました。
何のために時間を決めて、カウンセリングをしているのか?
悩み相談とカウンセリングはどう違うのか、それは相談をする方々にも知っておいてもらった方がいいのではないか、と。
カウンセリングの特徴
カウンセリングとは何か、を端的にいいますと、「個人が抱える悩みや問題を解決するために、専門的な理論と方法によって行われる援助行為」のことです。
ここではそのカウンセリングの特徴をご説明します。
★だれが?
カウンセラーがクライエント(相談者)に。
★いつ?
明確で十分に設定された時間に。標準は1回50分。必要な場合は継続されていく。
★どこで?
相談者のプライバシーが守られる安全な場所と空間において。
★どのように?
相談者が尊重され、傾聴を基盤とした質の高いカウンセリング関係を通じて。
★なんのために?
相談者の問題解決や成長のために。
目標が合意され、両者の協働によって進められていく。
★なにを?
相談者にとって本当に必要な援助を。
専門的な提案や介入がおこなわれる。
(日本産業カウンセラー協会・養成講座テキスト「カウンセリングの基本」より)
いかがでしょうか。
カウンセリングの特徴、性質を並べてみると、日常会話による悩みの相談とは大きく異なる部分が見えてきますでしょうか。
日常の延長のような悩み相談では、時間や場所は明確に設定されず、今はコロナ禍でオンラインが盛んですが、カウンセリングの基本とは、秘密が守られる安全な場所で、時間を明確に決めておこなわれることです。
私はホームページやTwitterの固定ツイートに、カウンセリングをお受けできる時間帯を必ず明記するようにしており、多くの方はその時間に予約をされて、時間もきっちりと守ってくれます。しかし時間帯に関係なく、予約をすることもなく、ご相談をされてくる方もいます。
それは、カウンセリングではなく、お悩み相談であり、そのような話を傾聴する活動をされている方もたくさんいらっしゃることでしょう。
私もとにかく悩んでいる方の話を聴こうと、当初は時間に関係なくなるべく受けておりましたが、すると、わざわざ予約をしてくださる方々との関係はどうなるのだろう?と疑問が湧くようになりました。
今は時間外の対応は丁重にお断りをしています。
しかし、例外はあります。
それは相談者に、命の危険性や自傷、他害の恐れが著しく感じられ、緊急性を要する時です。
その時は、カウンセラーの危機介入の責務としてその防止に努め、一人の人間として、その人のいのちを守る行動を出来る限りおこないたいと思っています。
今回は、カウンセリングを利用したい、相談したいと考えていらっしゃる方、すでにご利用されている方々に、悩み相談とは違うカウンセリングの特質、独自性について綴らせていただきました。
カウンセリングサロンぱすてる
傾聴カウンセラー 喜々津博樹
※2021年2月1日より、ぱすてるは有料事業となりました。