絵本、童話が大好きな私ですが、最近とても素敵な絵本に出会いました。
『ねずみくんのおくりもの』
つちだよしはる・文絵 あべやすつぐ・原作
原作者の阿部恭嗣さん、通称やっちゃんは、9歳の時から筋ジストロフィーという難病とたたかっていました。
病気が進行し、手足が動かなくなり、やがて声も出せなくなりましたが、唇の動きで文字を入力できるクチマウスと出会い、パソコンで文章を書くようになりました。
そのやっちゃんが、妻のアキちゃんに贈った童話が、この絵本の原型です。
ねずみくんは、大好きなねずみちゃんの誕生日に、なにか喜ぶことをしてあげたいと思いましたが、自分にはなんにもできないと悩んでいました。
それでも、丈夫な前歯を使って、ねずみちゃんそっくりな氷の像を作ることをひらめきます。
時間を忘れて、手も足も真っ赤にしながら雪をかため、わき目もふらずに雪のかたまりを削っていきましたが…
ねずみくんのひたむきで一生懸命な姿、森の中でねずみくんが出会う動物たちが、つちだよしはるさんのやわらかな淡い絵で描かれています。
好きな人に喜んでもらいたい、そのためにはどんなことができるだろう…
やっちゃんは、体の自由がきかなくても精一杯生きていきたい、大好きなひとが喜ぶことをしたい、という自身の想いを、ねずみくんの姿に託したのかもしれません…
とっても好きな人、愛する人に贈り届けたい絵本です。
やっちゃんは、この物語をアキちゃんにプレゼントし、2008年、52歳で旅立たれました。
『ねずみくんのおくりもの』
2018年11月刊行・教育画劇
http://kyouikugageki.co.jp/bookap/detail/1803/
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