私は心理カウンセラーとして、ひきこもりの支援事業をしており、訪問や外出同行を中心として、ご本人やご家族と日々お会いしています。
この活動を続けていると、直接支援には関わっていないけれど、現在ひきこもっている最中の当事者の方と出会ったり、ひきこもり経験を活かして独自に活動している方々にも出会うことがあります。
最近は、そんな当事者・経験者の方々の中でもご自身の考えや体験を書籍という形に纏めてネットで自費出版をしたり、シンポジウムを開催して、大勢の前で、自分のことを語る人たちがいて、私もそのようなイベントを一緒におこなったり、活動している当事者の方々を応援したりしています。
この2月には、練馬区で3年目となる「ひきこもり問題合同相談会」を当事者団体(VOSOT)を中心に民間有志で開催しました。
シンポジウムと相談会の2部構成で、シンポジウムのテーマは「ひきこもりは家族や社会をどう見ているか」。
当事者と家族、支援者、来場者がこのテーマを軸に対話を交わすイベントで、開催当日は運営スタッフを含めると区内外から70人以上の参加がありました。

ひきこもり当事者を中心に据えてシンポジウムは進行していき、3人の当事者から見た「家族と社会」への本音が語られました。
私がこの支援活動を始めた当初は、ひきこもり状態から抜け出すためのサポートを事業の大きな目的に掲げていましたが、さまざまな当事者の人たちとじかにお会いし、抱いている思いを聴くようになってからは、その支援の考え方が大きく揺らいでいきました。
ひきこもる、ということは、そこから抜け出す、抜け出せない、というような単純なことではなく、もっと複雑・深淵であり、トラウマ、葛藤、焦燥、不安、孤独、苦しみ、怒りなどが内在し、また個人の問題だけで括れない、家族関係、人間関係、社会構造、時代状況の問題が深く関係していることを、当事者・家族とじかに触れあう中で実感するようになりました。
そして、ひきこもり状態からの変化を強く望み、自分と似たような回復状態にある方との出会い・つながりを求めている方がいることも知りました。
一方で、自分の感情や欲求をうまく言葉で表したり、伝えることが出来なかったり、自分がどうしたいのかがわからず、言葉にできない気持ちをずっと抱え続けている方も、もしかしたらたくさんいるのかもしれません。
ひきこもり状態の中で、社会と己れを深く見つめる、当事者活動を続けることで自身の存在を確認する、また、ひきこもりの経験を通じて感じてきたことを発信し、社会に問いかけてゆく…
当事者の人たちの発する声、気持ちにじっと耳を傾けてみることで、自分自身の生き方、ものの見方、捉え方、固定観念を見つめ直したり、今の社会、制度、システムのあり方、家族のあり方、姿を、根本から問い直してみる必要があるのではないか?
練馬のシンポジウムで対話をした方々の生の声を聴き、そしてご自身の思いを出版という形で世間に届けている当事者の方の真実の言葉に触れて、そこに人間のあまりに多様なる生きざま、豊かで奥行きのある感性、嘘のない、本質的な問いかけを、今たくさん教えてもらっていると感じています。
カウンセリングサロンぱすてる
行動支援カウンセラー 喜々津博樹











