今回はストーカーについて、書いてみようと思います。
私はカウンセラーとして活動する以前から、ストーカーについて関心を持っていました。
たびたび耳にする、馴染みの地名を冠したストーカーの事件、報道に触れて、遠い出来事とは思えず、身近な社会事件として捉えていたように思います。
今年3月にも私の住む練馬からほど近い豊島区の池袋で、ストーカーによる殺害事件が起きてしまいました。
元交際相手を殺害し、本人も直後に自殺するという行為を耳にして、2012年に起きた逗子ストーカー事件の加害者とまったく同じ行動であることに驚愕し、最悪の事態がまた繰り返されてしまったことに言葉を失いました。
私はストーカーの問題や相談を専門に受けているわけではありませんが、ストーキングやつきまとい行為、執着心、依存といったものが、人間の心理と行動、対人関係、コミュニケーション、家庭環境、生育歴といった事柄に密接に関連していて、ストーカーに関する問題は、カウンセラー、心理職が常にかかわり続けていくテーマであることに気づかされます。
また私がストーカー事件に触れる時にいつも感じることは、ストーカー事案が犯罪行為ということで、警察や法律、医療の領域でばかり扱われていて、人間心理や身近なコミュニケーションの問題として認識され、語られることがあまりに少ないことです。
被害者への支援だけでなく、加害者へのカウンセリング・治療を義務づけるという議論も起きていますが、そのもっと手前の、加害行為やつきまとい行為そのものを起こさない、踏みとどまるための方策、未然に防ぐ手段を考えていくこともかなり重要なのではないかと感じています。
最近、元ストーカーの方が書いた本を読み終えました。ストーキングを実際に繰り返したことのある当事者が著した本を読むのは初めてでしたが、そこにはとても興味深い内容が書かれていました。
現在、加害者の更生支援や啓蒙活動をおこなっている著者の守屋秀勝さんが、ストーカー行為から抜け出すきっかけとなったのが、心理学だったのです。
アドラー心理学の「目的論」を知り、そこから大きな気づきを得ていく様子がこの本には記されています。

守屋秀勝・著『粘着の人 ストーカーという名の宿痾』(産学社)
守屋さんの著書には、ご自身の生い立ちや過去におこなった数々のストーキング、加害当事者としての苦しみ、恐怖が正直に綴られており、ストーカーの心理と行動を理解していくための大変貴重な記録にもなっています。
心理学は「こころと行動の科学」とも呼ばれており、人間の心理は行動に結びついており、行動は対人コミュニケーションにもつながっています。
その心理学やコミュニケーションを基盤とした職務に携わるのがまさに心理カウンセラーであり、ストーキングを予防するためのカウンセリング、心理支援にもっと目が向けられるべきではないかと感じています。
そのためには、カウンセリングという心理サービスをもっともっと世間に身近に広めていく努力をしていかなくてはと思います。
またカウンセリングと同様に、日頃から自己理解、他者理解を深めていくための対話の場、内的対話が行なわれる環境、コミュニケーションの機会、時間を生活の中に作っていくことも、とても大切だと感じます。
ストーカーの加害者、被害者には、特別な人がなるのではなく、市井で暮らす誰もがなり得る可能性がある…
そんな思いを胸に、この問題を深く考え、行動していきたいと思います。
カウンセリングサロンぱすてる
行動支援カウンセラー 喜々津博樹











