ひきこもり訪問支援 ぱすてる

自分らしく生きるためのカウンセリング

2023年、新年の思い

2023年が始まりました。この1年を自分はどんな思いで動いていくのか、ブログに書き留めてみることで整理をして、気持ちを新たにしたいと思いました。

 

個人事業で始めたカウンセリングとひきこもりの支援が、今年も自分の活動の中心になります。

ボランティアからスタートしたカウンセリング業は、今は職業として有料でおこなっていますが、まだまだ認知は進んでおらず、今年は心理カウンセリングという「専門サービス」をもっと世間に広めていく活動、ご依頼の件数をもっと増やしていく努力をしていきます。

 

ひきこもりの支援については「開業カウンセラーがおこなっている訪問支援」という特色をさらに明確に打ち出していかなければと感じています。

ひきこもり・不登校の支援はその性質として、主に地域福祉、保健、医療、教育、就労などの領域にまたがり、公的な機関もしくは行政から委託を受けた民間団体が、配分された予算の中でおこなっていることが大半でしょう。

 

心理職の民間個人が、どこにも属さず制約を受けずに、さまざまな機関と横断的につながり、「訪問支援サービス」という個別契約に基づく有償サービスを、当事者とその家族に提供していく…それが私の支援事業になります。

一次的な相談の受け皿ではなく、継続的で指向性、発展性を持ち得る、カウンセラーによる当事者への心理的なサポート、家族支援をもっともっと周知していく必要があると感じます。

 

昨年2022年は、心理カウンセリングの法人契約を開拓したくて、社会福祉法人、学校法人、中小企業、NPOといったさまざまな民間の法人組織にカウンセリングの営業活動をおこないましたが、成果はほとんど得られませんでした。

心理カウンセリングに対するイメージや認識を変えて、広げるための方策、支援者への支援というテーマを、今年はもっと研究して探っていこうと思います。

 

カウンセリング事業は仕事としておこなっていますが、社会貢献活動としても続ける意義が大いにあると思っています。

私がカウンセリングをボランティアで始めた動機のひとつは、社会で孤立していく人、自ら命を絶とうとする人に寄り添いたい、尊い命をつなぎたいという思いでした。

 

自殺防止のための活動や無料体験のカウンセリング、児童養護施設との交流は今年も変わらず続けていきたいと思います。

 

こうして書き留めていると、体の内側からなんだかエネルギーが沸々と湧いてきて、今日も新しい一歩を踏み出したい、素敵な人たちに出会い、日々つながって成長していきたいという気持ちがあふれてきます。

 

2023年。社会が、そしてこの世界が、幸せと温かさを感じられて、今日という日を豊かに生きていくことができますように。

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カウンセリングサロンぱすてる

傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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子どもたちに本を贈る

この12月、児童養護施設で暮らす子どもたちにクリスマスプレゼントの本をお届けしました。

その本を選んだのは、SNSで私がつながった方々で、その中には一度も対面でお会いしたことのない方が何人もいました。

 

施設で暮らす子どもたちに、以前は私が買って読み終えた児童書をたまに送っていましたが、プレゼントを届けるなら中古の本ではなく、子どもたちに新品の本をお届けしたいという気持ちがだんだんと強くなってきました。

そこで、Twitterを活用し、子どもたちに楽しんでもらいたい本をフォロワーの人たちに自由に選んでもらおうというアイデアが浮かんできました。

その選んでもらった本を私が街の本屋さんやネット書店で購入し、施設に直接お届けしようと。

 

その企画を最初におこなったのが昨年のクリスマスシーズンです。

告知のツイートをしたら、フォロワーの方々から続々と本の紹介が届きました。

今年の6月には、夏休み企画としてまたTwitterで本のタイトルを募ると、やはり作品名を教えてくれる方々がほどなく連絡をくれました。

夏は場所を変えて、新たに連絡をとった児童養護施設に本をお送りしました。

 

3回目となる今回は、昨年の冬と同じ施設に送ることにしました。

毎回思うことですが、告知してどんな反応が返ってくるのかはまったく予測がつかず、どんな結果になるかもまったくわかりません。

顔見知りの方には声をかけず、ツイートを見た方が自由に誰でも参加できる企画にしたいと思いました。

それでも私が声をかけたのは、支援でかかわっているひきこもりの若者です。

 

今回はお知らせのツイート後、数日間は反応がほとんどなく、ちょっと不安になりました。

このまま本のタイトルがほとんど集まらなかったらどうしよう、3回目とはいえ、こういう企画をSNSで根付かせるのは難しいのか、と考えたりしました。

しかし、SNSの性質を思い起こすと、利用者は投稿を頻回に見る人ばかりではないこと、ツイートはタイムラインで流れて埋もれてしまう可能性が十分にあることが想像できました。

そこで、告知ツイートをしつこいぐらいに毎日粘り強く打ってみました。誰かが見ているかもしれない、誰かに気づいてもらえるかもしれない…

するとある日、本をお知らせしてくれる人が次々とあらわれたのです。

 

気がつくと、過去2回とあまり変わらない数のタイトルがこの冬も集まり、絵本、文庫、学習漫画、単行本など全部で22冊の本を購入し、本日(12月13日)、無事に都内の児童養護施設にお届けすることが出来ました。

 

私がこの企画でいつも決めているのは、かならず本屋さんと本屋さんが関係しているネット書店で作品を買うことです。

大手の通販サイト、中古市場で購入するのではなく、街の本屋さん、新刊書店とそこで働く書店員さんにきちんと利益が渡って欲しいと思っています。

 

児童養護施設で生活する子どもたちに、見知らぬおとなの人たちが自由に選んだ本をゆったり楽しんでほしい、クリスマスをみんなで自由に楽しく過ごしてほしい…そんな願いをこめて。

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カウンセリングサロンぱすてる

傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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スマイリーキクチさんのこと

お笑い芸人のスマイリーキクチさんとのご縁を今回は書きたいと思います。

 

スマイリーキクチさんは、お笑いタレントとして活動していた1999年、ネット上で全く身に覚えのない殺人事件の犯人であるというデマを流され、その後長きに渡って、誹謗中傷や脅迫を受け続けてきました。

キクチさんは被害を警察に相談しましたが、捜査は進まず、匿名による誹謗中傷は酷くなっていきます。

それでも決して諦めずに、警察署の刑事課を訪ねたことで捜査が大きく進展し、中傷、脅迫した人物たちの身元が特定され、一斉摘発されました。

 

現在キクチさんは芸能活動を続けながら、一般社団法人を設立して、インターネットの危険性や対処法、人権・情報モラルについて発信する活動をされています。

10月21日、そのキクチさんの講演を埼玉県の朝霞市で初めて聴く機会に恵まれました。

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スマイリーキクチさんを生で見るのは実は2回目になります。

初めてその姿に間近に接したのは、昨年2021年の9月。木村響子さんの講演の会場でした。

 

木村響子さんには娘さんがいました。プロレスラーの木村花さん。花さんはSNSで無数の誹謗中傷を受け、2020年の5月、22歳で自らその命を絶ちました。

木村響子さんは花さんの死後、NPO法人を立ち上げ、誹謗中傷を終わらせるための活動・講演、そして裁判の準備を進めています。

板橋区成増でおこなわれた講演に足を運ぶと、そこにスマイリーキクチさんが来ていたのです。

芸能界に疎い私は、キクチさんが長年受けてきた被害のことをその時からようやく知ることになりました。

 

キクチさんの講演で、心にとても深く刻まれた言葉は、自分を誹謗中傷した人間に対して、報復をするのではなく、自分自身が幸せになることが仕返しになるのだ、というメッセージでした。

講演終了後、池袋のジュンク堂でキクチさんの中傷被害の実体験を綴った著書を買い求め、翌日Twitterで、講演に行ったことを書き記しました。

 

すると、キクチさんご本人からリプのコメントが届いたのです。

とても嬉しく感じるとともに、そのコメントはぜひたくさんの方に読んでもらいたい内容だったので、思いきってご本人に返信し、紹介してもよいか尋ねてみました。するとすぐにお返事が来て、承諾をいただきました。

このブログでも、あらためてその時のリプをご紹介いたします。

 

「講演会に足を運んでくださり、ありがとうございました。

今も中傷や嫌がらせは続いていますが、自分が幸せになることが最大の仕返しだと思っています。

スマホSNSを人の傷つけるツールにしないように、今後も子どもたちに伝えていきます。

お心遣いに感謝申し上げます。」

 

とても丁寧な言葉遣いにご本人の人柄が滲み出ていました。

ネットの誹謗中傷の問題に対して強い怒りを感じ、木村花さんの自死に深い悲しみを抱いていた者にとって、スマイリーキクチさんとSNSで直接やりとりが出来たことは、単なる偶然には思えませんでした。

 

社会に生きる1人の人間として、誹謗中傷の問題にどう向き合っていくのか、自分に出来ることは何か。

まずひとつは、自分の発する言葉、行動に責任を持つこと。

スマイリーキクチさん、木村響子さんの活動をこれからも応援しながら、じっくりと考え行動していきたいと思います。

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『突然、僕は殺人犯にされた〜ネット中傷被害を受けた10年間』

スマイリーキクチ・著  竹書房文庫

 

カウンセリングサロンぱすてる

喜々津博樹

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ひきこもりの講演をおこないました

ひきこもりについてのオンライン講演を9月の末にさせていただきました。

ご依頼があったのは、西多摩社会福祉士会という地域の団体です。

あきる野市地域包括支援センターを訪れた際に、会の事務局長をされている職員の方から、ひきこもりの8050問題などについてお話をしてもらいたい、というご相談をいただきました。

 

西多摩社会福祉士会は、東京の西多摩エリアの社会福祉士の資格を持つ方々が集まる会で、月に1回、例会と称してさまざまな研修会を20年以上前から開催しているそうです。

社会福祉士として支援職に就きながら、ひきこもりの相談を受けることもあるそうで、ひきこもり支援をしている私に声をかけていただきました。

 

例会は今はオンラインでの開催が多いとか。私はひきこもりの家族会などでお話をさせていただくことはありますが、オンラインでの講演はめったにないので、画面に出す資料はどんな形式がいいのだろうか?…そんな初歩的なところから準備が始まりました。

 

講演をおこなう時にまず考えるのは、内容の構成です。テーマ、タイトルを決めたら、項目を考え、話す順序、進め方を考えていきます。

今回はひきこもりへの理解とカウンセリングを身近に知ってもらうことをテーマにしました。

 

講演ですから、おさえておくべき基本的な知識や正確な情報、データなども必要になるだろうと思い、自分の活動にさらに肉付けをして補強となるような参考書籍を購入し、まずはそれらの本や資料を読み込んでいく時間を作りました。

昼間に営業をして、夜や休日に準備の時間を作ることも出来るかもしれませんが、講演までの日にちが1ヶ月弱とやや短いこともあり、日中も読み込みと資料の作成に時間を当てました。

カウンセリングの予約や訪問が入らない時はなるべく営業に出たいし、回るところはいくらでもあるのですが、疲れて帰ってきて、さらに夜に講演の準備をする余力はなかなか残っていません。

 

当初はひきこもりとカウンセリングの2本柱でお話をする予定でしたが、原稿を作っているうちに、約1時間の講演では、ひきこもりについてお話するだけで時間が埋まってしまうと予想しました。

そこで事務局長にご連絡して、すでにお伝えしていたタイトルを変更させていただき、今回はひきこもりの支援を中心にお話することになりました。

自分が普段おこなっている活動を、守秘義務を守りながらなるべく具体的に紹介する形で資料を作り上げていきました。またこれまで支援で味わった挫折や失敗も、講演では正直に話したいと思いました。

 

9月29日の夜、Zoomでのオンライン講演が始まりました。会員の方々が広域で集まり、参加者は15名ほどでしょうか。

事務局長以外はまったく初めての方ばかりで、画面上で挨拶を交わします。

私が今回決めたタイトルは「ひきこもりへの理解とあたたかな支援をつづけるために」。

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画面共有で使う資料は、PDFにしました。

私がただ話すだけでなく、冒頭と終盤の方に、参加者も発言してもらう時間を設けてみました。

最初は画面を気にして恥ずかしい気持ちもありましたが、参加者になるべくわかりやすいように話をしていると、いつの間にか時間の経過を忘れてしまうほど夢中になっている自分がいました。

結果的に1時間半近く喋ってしまいました。

最後はいくつか質問などもいただき、講演が終わったのは21時を過ぎていたでしょうか。

 

終わってみて、もっとこうすればよかった、ああすればよかった、という反省は尽きないのですが、とても貴重な経験となりました。

オンライン講演に対する免疫が1つついたように感じましたし、社会福祉士会の方々との新しいご縁が出来たように思います。

 

ひきこもりについてのお話、支援の実際を語る機会をこうしていただくことで、ひきこもりについての理解を世間に少しでも広めていけたらと思っています。

 

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喜々津博樹

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いのちをつなぐカウンセリング

夏の終わり、いのちをつなぐための無料のカウンセリングをおこないました。

夏休みが終わり、多くの学校の2学期が始まる9月1日、この日本では18歳までの子どもたちの自殺が突出して増えている現実があります。

学校にまた行くのが死ぬほどつらい、もう登校したくない、いじめられたくない、でも誰にも、家族にも相談できない…

この9月1日に子どもたちが自らの命を絶つのは、そんな絶望的な気持ち、誰にも打ち明けられなかった苦しみがあります。

 

小学生から高校生までの児童生徒の自殺は、ここ数年は年間およそ400人から500人近くにのぼっています。

また、15歳から34歳までの若者の死亡原因のトップが自殺であるという国は、主要先進国(G7)の中では唯一、日本だけです。

それほどまでに子ども、若者の自殺率が高いこの日本では、自殺対策基本法が作られ、いくつもの無料で相談できる機関、サイトが開設されています。

しかし、そのような無料の相談機関は、なかなかつながらないという声をとても多く耳にします。

なぜ繋がらないのか。その理由はいくつか考えられます。

ひとつには、相談する人、件数があまりに多く、対応できる人数が追いついていないこと。

そして、相談機関は民間・個人も含めて全国にいくつもありますが、厚生労働省を始めとする公的機関のサイトには、そのごく一部の機関、団体しか見出しでは記載されておらず、結果的にそれらの一部機関にアクセスが集中して、つながりづらくなっているように思われます。

他にも理由はいくつか考えられますが、その繋がらないという現状に対して、私はカウンセラーとして、一市民として個人で出来ることはないかと考えていました。

そして、夏休みが終わる8月31日と学校が始まる9月1日の2日間、無料のカウンセリングをオンラインでおこなうことにしました。

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個人活動なので対応できる人数、回数は限られていますが、私がまず考えたのは、予約制にして時間を決め、かならずつながれることです。

カウンセリングの時間は60分。予約のキャンセルも可能だし、オンラインなので顔出しも自由に選ぶことが出来て、文字によるやりとりもOK。なにより利用の自由度と確実性に重きをおきました。

発信はTwitterFacebookを活用し、一週間ほど前から毎日告知をしていきました。

とても嬉しかったのは、私の告知投稿を拡散してくれた方が何人かいらっしゃったことです。活動に賛同し、応援してくれる方がいる…それを目に見える形で教えてくれました。

予約がぽつぽつと入ってきましたが、なかなか枠は埋まらず、無料とはいえ個人では届きにくいのかなと思いましたが、カウンセリング当日になって連絡が入り、結局6名の枠がすべて埋まることになりました。

ご利用いただいた方は、大人の方が多く、想定していた子どもたちからの相談は今回はありませんでした。

しかし、このような活動は機会を作って地道に取り組んでいくことに意義があると思っています。

子どもも大人も、この社会で追いつめられて自死を選ぶ人が、1人でも踏みとどまってもらえたら。

そのために自分が今ここで、できることはなんだろう…

そんな問いに向き合いながら、日々活動していきたいと思います。

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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夏休みに本を贈る

児童養護施設の子どもたちに夏休みに本を楽しんでもらいたい…そんな気持ちで、本をお届けする企画を考えました。

 

私はかつて児童書の出版社に営業として勤めていたことがあり、本の世界が大好きなので、よく本屋さんで絵本を買ったり、作家さんのサイン本を購入していました。

それらすでに読み終えた本を、蔵書として部屋の本棚に大切に置いていましたが、自分で所有するだけじゃもったいない、広く子どもたちに手にとってもらおう、ふだん本がなかなか買えない方の手に渡る方法はないだろうか…そんなことを考えるようになりました。

冊数が増えてきて、もう本棚には置ききれなくなってきた事情もあります。

 

そして児童養護施設の存在が頭に浮かんできました。そこで暮らしているのは、およそ18歳までの子どもたちで、日常的に親から本を買ってもらうことが出来ません。

そんな子どもたちに本をたくさん楽しんでもらおう。

そう思い立ち、自分の住む地域の児童養護施設に連絡をとり、数年前から本を送るようになりました。

やがて、施設の子どもたちには読み終えた中古の本ではなく、新品の本を読んでもらいたいな、新刊をお届けしたいなと思うようになりました。

 

そこで思いついたのが、SNSの活用です。自分だけで本を選ぶのではなく、色々な方が参加して自由に選んだ方が面白いんじゃないか、さまざまなタイプの本が集まるのではないかと思ったのです。

昨年のクリスマス。

初めて、Twitterを通じて「あなたが子どもたちに楽しんでもらいたい本のタイトルを教えてください」と呼びかけると、全国の方々から連絡が次々と来たのでした。

そのタイトルを私が本屋さんで見つけて購入し、冬休み前に施設にお届けすることが出来ました。

 

そしてこの夏。

第2弾をと考えましたが、今回はこれまでお届けしてきた施設ではなく、都内の別の児童養護施設に連絡を取ってみました。

初めてメールを送ったのですが、すぐに担当の方から返事が来て、快諾していただきました。

6月下旬にTwitterで呼びかけると、フォロワーの方々から早速反応をいただきました。

前回のクリスマスの時にも参加してくれた方、初めて連絡をくれた方…実にさまざまな地域、さまざまな属性の方々が、子どもたちに楽しんでもらいたい本のタイトルを教えてくれたのです。

中には、これを一緒に届けてほしいと、本そのものを私宛に送ってくれた方もいらっしゃいました。

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この企画では、私がこだわっていることが一つあります。それは、教えていただいたタイトルを大手の通販サイトに注文するのではなく、本屋さんで購入することです。

店頭ではなくネットで買うにしても、かならず本屋さんが運営するサイトで購入すること。

本屋さんとそこで働く人たちにこそ利益が渡って欲しい、これ以上本屋さんがなくなってほしくない、願うだけではなく、自分で実際に行動をおこしたい、という気持ちがあります。

 

7月の半ば、夏休みに入る前に、集まった本を施設に無事にお届けすることが出来ました。

参加していただいた方には深く感謝いたします。この企画は、夏休みとクリスマスの年2回、恒例行事のようにこれからも楽しく続けていけたらと思っています。

子どもたちが自由に、ゆったり本を楽しむ姿を想像しながら。

 

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石川清さんのこと

ひきこもりの支援を長い年月されていた石川清さんが、先月お亡くなりになりました。

50代の後半というご年齢で、あまりの突然の訃報に耳を疑いました。

私は石川さんご本人にお会いすることは結局できませんでしたが、そのお名前は、今の支援の仕事を始める当初から聞いていました。

 

ひきこもりの本人が暮らす家庭を個人で訪問し、継続して支援にかかわっていく…私がカウンセラーとして、ひきこもりの支援をするために考えた活動スタイルを、もうすでに20年以上前から実践されている方がいる…それがまさに石川清さんだったのです。

石川さんはその訪問支援の内容をご自身の本にも著していますが、私が知った時その本は入手困難となっており、仕方なく中古本を高価で買いました。

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『ドキュメント・長期ひきこもりの現場から』

石川清・著(洋泉社・絶版)

この本を読むと、石川さんが当事者にどんな訪問をされてきて、どう向き合ってこられたのか、どんな考えを持って活動されていたのかがとてもよくわかります。

石川さんのひきこもり支援は、公的な機関や民間団体の支援とは明らかに異なる特徴がいくつもありました。

 

まず、どこの機関にも属さずに一個人でおこなっていること。

それは、助成金などを受け取らず、制約を受けないで自己資金で自由に活動を続けたいという理由からで、訪問する家庭は、長期化、重篤化したケースが多かったそうです。

次に、愛車のクルマを駆使しての長距離移動による訪問支援であること。地元の埼玉を中心とした関東全域、さらには東北、関西、九州、沖縄にまで足を運んでいたとか。

 

そして石川さんの支援の最大の特徴が、本人と一緒にアジアを中心とした海外に飛び、そこで自由な旅をすることでした。

集団のツアーではなく、ふたりだけの自由旅行。

現地で計画はほとんど立てずに、その場で決めていくやり方。自分自身で決断して、自由に行動する感覚・体験が、心身の成長に絶大な効果があることを著書の中で語っています。

石川さんと一緒にアジアを旅した30代の若者が、その旅をきっかけに親への依存から抜け出し、ひとり暮らしを始めて自活するようになり、それがクチコミで広がっていったそうです。

なぜアジアなのか。石川さん自身が少年時代にフィリピンで生活し、学生時代も休学してフィリピンのスラムでホームステイをしたことが大きく影響しているようです。

 

石川さんの支援に対する考え方で、私もまったく同じ考えだと思ったのが、いわゆる「引き出し屋」と呼ばれる暴力的な支援組織のおこなう強引な手段をとらずに、本人を中心にして解決につなげていこうとする姿勢です。

暴力的、抑圧的な介入は、本人はもちろんその家族にも取り返しのつかない問題を生じさせる危険があり、人権問題としても許されない蛮行であると思います。

石川さんが長きに渡っておこなってきた支援は、本人と固い信頼関係をつくり、密にかかわり続け、本人が元気で幸せな人生を送れるようになるために、寄り添っていくことでした。

訪問件数は多い時には年間800回から1000回におよび、月におよそ2000キロを車で移動していたそうで、その驚異的な行動と実践に敬意を払うとともに、お体にはかなりの負担がかかっていたのではないかと察します…

 

最後に、著書に書かれたこの文章をご紹介して、石川清さんを心から追悼したく思います。

「いちばんの問題や課題があるとすれば、それはひきこもりの当事者の側ではなく、やはり社会の側のひきこもりに対する理解のなさ、そして人間に対するリスペクトのなさではないかと考えている。」

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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