ひきこもり訪問支援 ぱすてる

カウンセリングとひきこもり支援、日々の思いを気ままに綴っています。

ひきこもり当事者の声に耳を傾ける

私は心理カウンセラーとして、ひきこもりの支援事業をしており、訪問や外出同行を中心として、ご本人やご家族と日々お会いしています。

 

この活動を続けていると、直接支援には関わっていないけれど、現在ひきこもっている最中の当事者の方と出会ったり、ひきこもり経験を活かして独自に活動している方々にも出会うことがあります。

 

最近は、そんな当事者・経験者の方々の中でもご自身の考えや体験を書籍という形に纏めてネットで自費出版をしたり、シンポジウムを開催して、大勢の前で、自分のことを語る人たちがいて、私もそのようなイベントを一緒におこなったり、活動している当事者の方々を応援したりしています。

 

この2月には、練馬区で3年目となる「ひきこもり問題合同相談会」を当事者団体(VOSOT)を中心に民間有志で開催しました。

シンポジウムと相談会の2部構成で、シンポジウムのテーマは「ひきこもりは家族や社会をどう見ているか」。

当事者と家族、支援者、来場者がこのテーマを軸に対話を交わすイベントで、開催当日は運営スタッフを含めると区内外から70人以上の参加がありました。

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ひきこもり当事者を中心に据えてシンポジウムは進行していき、3人の当事者から見た「家族と社会」への本音が語られました。

 

私がこの支援活動を始めた当初は、ひきこもり状態から抜け出すためのサポートを事業の大きな目的に掲げていましたが、さまざまな当事者の人たちとじかにお会いし、抱いている思いを聴くようになってからは、その支援の考え方が大きく揺らいでいきました。

 

ひきこもる、ということは、そこから抜け出す、抜け出せない、というような単純なことではなく、もっと複雑・深淵であり、トラウマ、葛藤、焦燥、不安、孤独、苦しみ、怒りなどが内在し、また個人の問題だけで括れない、家族関係、人間関係、社会構造、時代状況の問題が深く関係していることを、当事者・家族とじかに触れあう中で実感するようになりました。

そして、ひきこもり状態からの変化を強く望み、自分と似たような回復状態にある方との出会い・つながりを求めている方がいることも知りました。

一方で、自分の感情や欲求をうまく言葉で表したり、伝えることが出来なかったり、自分がどうしたいのかがわからず、言葉にできない気持ちをずっと抱え続けている方も、もしかしたらたくさんいるのかもしれません。

 

ひきこもり状態の中で、社会と己れを深く見つめる、当事者活動を続けることで自身の存在を確認する、また、ひきこもりの経験を通じて感じてきたことを発信し、社会に問いかけてゆく…

当事者の人たちの発する声、気持ちにじっと耳を傾けてみることで、自分自身の生き方、ものの見方、捉え方、固定観念を見つめ直したり、今の社会、制度、システムのあり方、家族のあり方、姿を、根本から問い直してみる必要があるのではないか?

 

練馬のシンポジウムで対話をした方々の生の声を聴き、そしてご自身の思いを出版という形で世間に届けている当事者の方の真実の言葉に触れて、そこに人間のあまりに多様なる生きざま、豊かで奥行きのある感性、嘘のない、本質的な問いかけを、今たくさん教えてもらっていると感じています。

 

カウンセリングサロンぱすてる

行動支援カウンセラー 喜々津博樹

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対人コミュニケーションの講座

1月21日、戸田市社会福祉協議会のボランティアセンターからご依頼をいただき、市民の方々に対人コミュニケーションの講座をおこないました。

 

この講座のご依頼は、私にとってとても貴重な機会とタイミングになりました。

 

日頃の生活、支援活動において、コミュニケーションは常に欠かせないものですが、カウンセラーの仕事をしていても、対人コミュニケーションの難しさやジレンマを痛切に感じる時があります。

昨年はコミュニケーションのことで深く考え込み、今年に入ってそのことについて私自身がカウンセリングを利用したほどでした。

 

そもそもコミュニケーションとは一体何なのか?

人と人とのコミュニケーションの仕組み、成り立ち、種類、方法を根本のところから学び、伝えていく時間と機会を作り、豊かなコミュニケーションとはどういうものであるのかを立ちどまって考える講座を、ぜひ構築したいという思いに駆られました。

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今回の講座は「つなぐ・つながる ボランティア体験講座」という連続講座のひとコマにあたり、ボランティア活動に興味・関心がある市民の方、地域活動を始める方々のために戸田市社協様が企画・実施した講座でした。

 

コミュニケーションのスキルにはさまざまな種類がありますが、大きく分けて「表現する・伝えるスキル」と「聴く・受容するスキル」があります。

 

この2つのスキルについて講座で丁寧にじっくりとお話ししたいところでしたが、時間の関係もあり、今回は「聴く・受容するスキル」、すなわち「傾聴」についての講義を中心にしました。

また、対人コミュニケーションにおいてとても重要となる「非言語のコミュニケーション」についても、時間をとってご説明しました。

 

90分という限られた時間ではありましたが、受講者の方々同士の1対1の体験ワークを3回おこない、対面のコミュニケーション、傾聴を実際に味わっていただきました。

 

対人コミュニケーションは、学んでいくと、とても奥行きが深く、また毎日の生活にそのまま直結する、とても身近で大切なテーマでもあります。

コミュニケーションを軽んじ、おろそかにすることで、人間関係に齟齬が生じたり、ストレス、トラブル、悩みの種を作り、やがては個人の健康にも少なからず影響を及ぼすことになります。

 

今回の講座は、私にとっても対人コミュニケーションについてあらためてじっくりと向き合い、掘り下げていく大きなきっかけとなりました。

コミュニケーションと人間の心理、より豊かな関係性についての探究を、これからも地道に続けていきたいと思います。

 

カウンセリングサロンぱすてる

行動支援カウンセラー 喜々津博樹

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支援者がカウンセリングを活用するということ

新年最初のブログは、支援者にとっての「カウンセリング活用」について書きたいと思います。

 

私は心理カウンセラーとして、ひきこもりの訪問支援をおこなう支援者ですが、カウンセラーである私自身が先日カウンセリングを受けてきました。

受けてきた、という言い方は正確ではなく、心理カウンセリングを主体的に利用した、活用したという表現の方がよりしっくりときます。

 

カウンセラーに限らず、対人支援の職務に携わる者は、自身の健康管理、特にメンタル面でのセルフケアを日頃からおこなっていく必要があります。

その方法はさまざまにありますが、そのケアのひとつとして、心理カウンセリングも大変有効な方法であることを、私自身の体験を通して今回はお伝えしたいと思いました。

 

カウンセリングとは、端的に言えば心理学に基づいた専門的な援助行為であり、クライエント(依頼者)の自己理解、意思決定、行動の変容、自己成長などを、対話を中心としてサポートしていくものです。

また、カウンセリングを利用することによって、直面する問題の把握や対処能力が培われ、それが病気の発症の予防にもつながっていきます。

 

私自身もこれまで節目節目でカウンセリングを利用してきましたが、ここ最近はその機会を作れずにいました。

昨年後半、人間関係や対人コミュニケーションのことで深く考え込む出来事に直面し、この年末年始、心理カウンセリングをまた利用しようという思いが湧いてきました。

 

正月明けに都内のカウンセリングルームを予約し、カウンセラーの方と連絡を取り合い、現地に赴きました。

私がカウンセリングで話したかったことは、人間関係とはいっても、それは相手のことではなく自分のこと、自分がその問題に対して、どう向き合っていくのか、どうしていきたいのか、そのことを心理カウンセラーという専門家を対面鏡にして、じっくりと見つめ、整理し、深く向き合いたいということでした。

そしてじっくりと深く向き合うためには、それにふさわしい場所と明確な時間、そして適切な「間」が必要となるのです。

 

60分間のセッションは、日頃の日常会話とはまったく質の異なる時間となりました。カウンセラーの問いかけ、見方、自己開示、助言に応答しながら、私自身の感情、欲求が内側から湧き起こり、カウンセリングの終盤、予期していなかった言葉を自然に発している自分がそこに現れました。

 

カウンセリングはその場で答えが与えられるものではなく、自己洞察、自己探索を促し、新たな気づきや理解、行動につながるための時間になり得ること、カウンセラーとの対話と協働の「プロセス」によって成り立つものであることを、自身の体験によってあらためて実感できました。

 

そしてこのカウンセリング体験が、日頃の支援活動を見直し、ふり返る助けとなり、視界を広げて、自分自身の成長や変化にもつながっていくように感じられます。

 

そこに、対価を払ってカウンセリングという専門サービスを利用する価値、意義が見出されると思います。

 

一方でカウンセラーの技量や経験によって、カウンセリングの内容・質は大きく左右されることになるので、カウンセラーは学習、研鑽を常に続けていく責務があります。

 

カウンセリングを定期的に活用することで、私自身が安定した良好なコンディションで、質の高い支援が続けられ、支援でかかわる方々に福利がもたらされることを、何よりの行動目標にしていきたいと思いました。

 

今年2026年も、支援者として、1人の人間として、日々自己研鑽と経験を積み重ねていきます。

 

カウンセリングサロンぱすてる

行動支援カウンセラー 喜々津博樹

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傾聴ボランティア入門講座

戸田市のボランティア・市民活動支援センターからご依頼をいただき、傾聴ボランティア入門講座の講師を全4回にわたり務めました。

今回は11月に開催されたその講座のことをくわしく綴りたいと思います。

 

傾聴ボランティアとは、傾聴のスキルや知識を学び、高齢者施設や地域の居場所、サロンなどで、お話を傾聴したり、交流活動などをボランティアでおこなう人たちのことですが、社会福祉協議会のボランティアセンターなどが中心となり、傾聴の入門・養成講座やスキルアップ講座が各地域でよく開催されています。

 

今回は単発の講座ではなく、4回の連続講座ということもあり、私が何より頭を捻って考えたのは、その内容と構成、全体の流れです。

 

傾聴を学び身につけていくためには、まずその基本的な態度を知り、さまざまな傾聴の技法を実践を通して学んでいく、体験学習の時間が必要となります。

そして高齢者や障害者、マイノリティへの理解、心理学の基礎的な知識や行動倫理、対話・コミュニケーションの方法にも触れることのできる傾聴講座にしたいと思い、構成を組み立てていきました。

 

今回の入門講座には、20人の戸田市民の方々が集まりました。

場所は、戸田市の心身障害者福祉センターの広いお部屋を利用させていただきましたが、講義形式ではなく、机を端に移動させて、毎回椅子を円座にして、全員の顔がお互いに見えるようなスタイルで進行していきました。

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傾聴の講座で核となるのが、1対1の体験ワークです。

ペアを組んで、話し役と聴き役の両方をかならず体験します。お話を聴いてそれで終わりではなく、その後に「ふり返り」の時間を設けて、話し役はどんなことを話したかったのか、聴き役は話し役のどんな気持ちを受けとめたのか、自分の話を聴いてもらっての感想などをお伝えし合い、お互いの傾聴をふり返り、分かち合う時間を毎回作りました。

 

傾聴ワークは3分ずつ、5分ずつと時間が限られていますが、ふり返りの時間も含めると、それなりのボリュームになります。

また1対1の傾聴だけではなく、講座の3回目では4人1組になってのグループ対話の時間を作り、複数人での「対話傾聴」というものを味わっていただきました。

 

私がワークの時間で心がけているのは、講師として傾聴の基本的で大切なことはお伝えしますが、余計な口を出したり、ダメ出しなどを決してしないことです。

傾聴は表面的なスキルを身につけるのではなく、相手を共感的に理解しようとする態度、姿勢がとても大切だと感じているので、聴くとはどのようなことなのか、受講者の方がお相手の方とのふり返りを通じて、自分の体でそのまま感じる時間をたくさん持ってもらいたい、と思いました。

 

最終回の講座では、「本格的な傾聴」と題して、20分間ずつの傾聴を体験してもらいました。

初日の講座でペアになったお相手の方と再び組んでもらい、講座の始まりと終わりで、傾聴の違いや変化について受講者の方々が感じとることができるような設定を考えました。

 

最初の講座ではやや硬かった受講者の皆さんの表情が、回が進むにつれて柔らかくなっていき、声のトーンも少しずつ、高く賑やかになっていったように感じられました。

 

全4回の講座が終了し、最後に受講者の方々からお一人ずつ、お言葉をいただきました。

とても印象的だったのは、ワークの際、聴き役をした時のことよりも、話し役の時の感想を語る方が多かったことです。

人に話を聴いてもらうという体験がとても貴重だった、安心と安全を感じて話すことが出来て、すっきりとした気持ちになれた、といった声を間近にお聴きして、この傾聴講座をおこなった意義を実感することが出来ました。

お一人お一人のお言葉をお聴きしていたら、自然と目に涙が滲み出てきました…

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講座が終了してそれでもう終わり、というのではなく、ご希望者の方には「傾聴体験」というプレゼントをご用意しました。

講座中は、カウンセラーの私が受講者の方々と個別にワークをすることが出来なかったので、終了後に、私が受講者の話を1対1で聴く、という企画を作りました。

講座の傾聴ワークは、最長でも20分しか時間をとれませんでしたが、傾聴体験では40分というまとまった時間をご用意し、場所はボランティア・市民活動支援センターの会議室をお借りすることが出来ました。

 

この傾聴体験には、定員6名のところ、8名の方からご希望をいただき、戸田市内のファミリーレストランでお話を聴いたり、オンラインでも傾聴をしました。

受講者の方々のとても熱心な姿勢に、胸がいっぱいになり、今もその余韻が私の体にじんわりと残っているほどです。

 

今回の傾聴ボランティア入門講座は、受講者の方々とのふれ合いを通じて、講師である私自身が成長させていただく時間ともなりました。

傾聴の奥深さ、大切さをあらためて肌で感じる時間ともなり、もっともっとたくさんの方々に傾聴を知ってもらいたい、味わってもらいたいという気持ちが強くなりました。

 

今回の講座で感じた反省点や足りない点も今後に活かしながら、さまざまな場所で傾聴講座をおこなっていきたいという意欲が今、この体に熱くみなぎっています。

 

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行動支援カウンセラー 喜々津博樹

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日航ジャンボ機墜落事故現場をたずねて

10月最後の土曜日、群馬県上野村にある御巣鷹の尾根を目指しました。

ここの地で、40年前の1985年8月12日、日本航空のジャンボ旅客機が墜落、炎上し、乗客乗員520名の方が亡くなりました。その事故現場をじかに訪ねたいという思いが、この夏から秋にかけて自分の心の中で高まっていたのです。

 

あの未曾有の大惨事を記憶にとどめている方は多いことと思います。

あの大事故が起きた85年、私は中学の3年生でした。夏休みのちょうどお盆の時期に耳にした大惨事は、テレビ、ニュースで連日大きく報じられ、その時の中継映像や報道を今も断片的に覚えています。

そして毎年8月12日の頃に、あの事故で身内を亡くされたご遺族の方々が、事故の地を慰霊登山で訪ねている様子がニュースで伝えられ、そのお姿がいつも目に焼きついていました。

 

いつかその場所を訪ねたいと思いながら、長い年月が経ってしまいましたが、今年2025年の酷暑の夏も、慰霊のために御巣鷹の尾根を登っているご家族の方々のお姿を見ていたら、今年こそ訪ねてみようという気持ちが、自分の内側から自然に湧き起こってきたのです。

 

朝方にレンタカーを借りて、練馬の大泉インターから関越自動車道に入り、本庄児玉インターの出口で降りて、国道462号線神流川沿いに西に走ります。

上野村の砥根平から左に折れて林道に入っていくのですが、その林道がだいぶ長く、薄暗いトンネルがいくつもあり、また段々と道幅が狭くなっていくことに不安を覚えました。

そして、想像していたよりもずっと山深い地に事故現場があることを思い知らされたのです。

 

登山口のそれほど広くはない駐車場に車を停めて、山道を歩き始めました。スゲノ沢という沢沿いにきちんと整備された登山道がついていますが、やや傾斜が強めの箇所もあります。途中にトイレと水場、管理小屋?が設置された休憩地点を経て、およそ40分弱で昇魂の碑という慰霊碑が建つ墜落事故現場に到着しました。

 

事故から40年が経ち、当時のニュースで見た現地の映像とはまったく異なる光景がそこには広がっていました。

事故の後に植樹したのであろう樹木が伸びて、山の斜面を豊かに覆い、明るい林となっており、木陰の下でゆるやかな山道を歩いていくことができます。ちょうど紅葉の季節に入り、周囲の山肌は黄色、紅色にとても綺麗に色づいていました。

そして昇魂の碑の近くには亡くなられた520人のお名前がすべて刻まれた墓碑があり、斜面のいたるところに、個人の慰霊碑が無数に立っているのです。

慰霊の碑はお一人のものもあれば、家族、夫婦、兄弟姉妹で一緒になっているものもあり、お花が添えられていたり、生前の写真が埋めこまれている墓碑もあって、ご遺族、関係者の方々がここに建立されたのだと思うと、胸が締めつけられる思いでした。

 

40年前の8月のあの日、日本航空ボーイング123便は、乗客乗員524名を乗せて、羽田空港から大阪に向かって夕刻に離陸。出発後まもなくして操縦不能に陥り、関東西部上空で迷走飛行を続け、18時56分頃、群馬県上野村高天原山の尾根(通称・御巣鷹の尾根)に墜落。520名の乗客乗員が亡くなり、4名の方が生存、救出されました…

 

墓碑に手を合わせ、事故現場を後にして山を下ると、駐車場には大型のマイクロバスが3台も停まっていました。登山道でも何人もの方々とすれ違いましたが、この地を訪ねる人が現在もとても多くいることを知りました。

 

慰霊は、ここで終わりではありません。麓の上野村にも、慰霊の園という広場があるのです。

 

私は山登りで愛用している「山と高原地図・西上州」で事故の場所を調べていましたが、最初に目に入ってきたその慰霊の園が事故地点であると、ずっと勘違いをしていました。

走ってきた林道を下って国道に戻り、標識に従って左に入ります。整備された広大な敷地に、事故現場の方角に向かって手を合わせることが出来るように、高く大きな慰霊塔が建っていました。すぐそばには事故の概要や当時の地元の人たちの捜索・現場活動の様子をふり返られる展示資料館もあり、この上野村がずっとこの事故の慰霊の地として、訪れる人々を迎え入れていることを今更ながらに知りました。

体力的に山道を歩くことが難しい方は、この慰霊の園を訪ねて、お祈りを捧げることができます。

 

山間を流れる神流川の流れを眺め、道の駅で休憩をしながら、東京への帰路につきました。

 

40年という歳月が経ったとしても、あの墜落事故は決して風化させてはならない事故であり、520人の魂がこの山深い御巣鷹の尾根に眠っていることを思うと、この地を語り継いでいきたいと心から思います。

この地を訪ねることで、あの事故が現在にもずっと続いていることを感じられ、「いま」という時を生きるということがどんなことであるのか、考えていく道標のようにも感じられるのではないか。

そんなことを今、しみじみと感じています。

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行動支援カウンセラー  喜々津博樹

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断わるスキルを身につける講座

今月14日、世田谷区の消費生活課にて初めて研修講師をする機会をいただきました。

 

講座のテーマは「悪質詐欺・トラブルに遭わないための〜断わるスキルを身につける〜」。

 

受講者は、世田谷区の消費生活課の出前講座を担う区民講師の方々です。対人コミュニケーションにおける「相手に断わる」ことにフォーカスして、悪質詐欺をはじめとする消費者トラブルを未然に防ぐにはどうしたらよいのか?

その具体的な方法をお話しました。

 

コミュニケーションや心理カウンセリングが、消費生活と一体どんな関わりがあるのだ?と思う方が、もしかしたらいるかもしれません。

私も最近まで、消費生活センターの名前はよく聞いていても、仕事や普段の生活ではご縁がありませんでした。仕事で公的機関をよく訪ねていますが、ある日行政のカウンターで消費者センターのチラシがふと目に留まりました。そこには「詐欺・トラブルに遭わないためにキッパリ断りましょう」という文言が書かれてあったのです。

 

何故きちんと相手に断わることが出来ないのか?

詐欺やトラブルに遭わないためには、どんな具体的な方法があるのか。

この「断わる」に焦点を当てたコミュニケーションの研修や講座なら、きっとニーズがあるのではないかと思いました。

 

考えてみれば、私たちの消費生活はモノを購入・消費するだけでなく、契約したり勧誘を受けたり、説明を聞いたり確認をしたり、常に相手とのコミュニケーションが必要になることばかりだと気づきました。

そして、日頃の生活や仕事を通じて、相手に対してきちんと断われない人、誠実に返事が出来ない、自分の意思を伝えられない人たちのことが気になり、なぜなのだろう?と以前から考えていました。

 

カウンセラーの職に就く者は、コミュニケーションの中でも特に大切な考えであるアサーティブ・コミュニケーション(アサーション)を必ず学びます。自分も相手も尊重するアサーションの表現を核として、断わるだけでなく、自分の気持ち、意思を相手に明確に表現する、伝える方法、心理学の知識を盛り込んだコミュニケーション方法を、消費生活センターの講座にもぜひ取り入れてもらいたいという気持ちが湧き起こりました。

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自分で手作りのチラシを作成し、各所にご案内する日々が続きました。世田谷区の消費生活課の方が関心を示してくださり、区内で活動するボランティア講師の方々へのフォローアップ研修として、正式にご依頼をいただくことになりました。

 

当日は、アサーティブ・コミュニケーションと傾聴の基本的なお話を中心に進めながら、詐欺に遭わないための傾聴のメリット、騙されないためのポイントなどを整理してお話しました。

そして講義だけではなく、アサーションを実際に体験していただく1対1のロールプレイをおこない、相手にお願い、お誘いすること、そしてお断りすることをじかに味わっていただき、内容の理解をより深めていただく時間を作りました。

 

後日いただいた受講者の方々の感想では、体験ワークがとても楽しかった、アサーションは自分を知ることだとわかった…といったお言葉をいただきました。

「断わるスキル」とタイトルにはつけましたが、アサーションは本当に奥が深いコミュニケーションで、スキルだけではない、自己理解、他者理解を深めていくマインド、作法にも通じるものだといつも感じています。

このアサーティブ・コミュニケーションを広める活動、ストレスなく相手に断わるための方法をお伝えする研修を、カウンセラーとして継続的に続けていきたいと思います。

 

 

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行動支援カウンセラー  喜々津博樹

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支援者の対話の場 オネスティ

支援者同士が分野の垣根を超えて、自由な対話をしながら、日頃の自分の支援や考え方、気持ちを見つめられる場所を作れないだろうか…

 

そんなことを、支援の仕事に就く者として、ずっと考えていました。

 

対人支援の仕事は、目の前にいる対象者、当事者、利用者のことを考え、理解しようとして行動し、関わっていくことは当然のことですが、そのためにはまず支援者自身が自分のこと、自身の状態をよく知って、自己理解を深めていく必要があります。

もし支援者が、偏った考え方や思い込み、決めつけ、誤った認識などを持っていたり、不安定な状態となり、支援者自身がそのことによく気づかずに支援に当たっていた場合、その被害や不利益を被るのは、他ならぬ支援を受けている方になるからです。

 

そのような事態を防ぐため、さらに支援者の質の向上のために、さまざまな研修や勉強会などが行われており、私自身も最近は研修講師の仕事に力を入れていますが、その実施回数は年間で限られており、カウンセリングをはじめとして、プラスアルファの何かがもっと必要だと感じていました。

 

支援者が対話という形で、自分の気持ち、内面と向き合い、参加者同士の交流にもなる場所。

そんな場所を今年の夏からオンラインで独自に作り、月に一度、週末の夜の時間に開くようになりました。

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名称は「オンライン支援者の対話の場 オネスティ」。

参加は支援者に限定せず、支援を受けている方、支援に関心のある方も参加できるようにしています。

参加者が安心してこの場で自分の気持ちを話すことができるように、守秘義務をはじめとした最低限の対話ルールを定め、定員は8名ほどの少人数でおこなっています。

 

7月から会を始めてまだ3回しか開催していませんが、毎回定員がほぼ埋まるお申し込みがあり、人数が定員を超えることもありました。

想定外だったのは、支援機関に実際に就いている方よりも、支援に関心のある方、当事者・経験者、親御さんの参加がずっと多いことです。

 

対人支援についての悩み、疑問を感じている方、支援のあり方について話がしたい、という方々がこのような場を求めていらっしゃるのだ、とオネスティを始めてみて、強く実感しています。

 

私がこのオネスティで大切にしたいことは、支援者とそうではない方同士が、立場に関係なく対話という営みを楽しむことが出来て、新たな気づきや学び、出会いにもつながるような豊かな時間を作ることです。

それが結果的に、支援の質を高めていくことにもつながり、支援を利用する人たちの福利、喜びにつながっていったらとてもいいな、と思っています。

 

異なる他者との対話を重ねながら、自分自身と深い対話をはじめる…

そんな体験をぜひご一緒にいかがでしょうか?

 

〈オンライン支援者の対話の場オネスティ〉

毎月 第3金曜日の夜(20:30〜22:20)または

第3日曜日の午後(14:00〜15:50)

定員 8名

Google Meetを使用

開催日はSNS(X)にて随時お知らせ

 

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行動支援カウンセラー 喜々津博樹

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東京シューレ性加害暴力事件

不登校の子どもたちが学ぶ場であるフリースクールで実際に起きた「東京シューレログハウス性加害事件」について、今回は綴りたく思います。

 

そのような性暴力事件がかつて起きたということは漠然とは聞いていましたが、詳しくはまったく知らなかったのです。

7月21日、中野区にてこの事件に関する講演会があると知り、ぜひ行きたいと思いました。支援の仕事に身をおく者として、その真相、事実を知る貴重な機会になると思いました。

 

講演会のタイトルは「不登校の今 子どもの人権は守られているのか?」。

主催したのは、中野区でフリースクールやフリースペース、不登校親の会を主宰している ito -いと- さん。

お話されたのは、この事件の被害者の方に寄り添っている「不登校ひきこもりを考える会・佐倉」世話人の下村小夜子さん。この講演会には、50年以上にわたって子どもの心理相談を杉並区で続けている心理カウンセラーの内田良子さんもご一緒に登壇され、2021年の旭川市の中学生いじめ凍死事件についてもお話されました。

 

フリースクールを運営するNPO法人東京シューレは、1998年から2001年まで、宿泊型のフリースクール「ログハウスシューレ」を長野県で開いていました。

その施設で、複数のスタッフから複数の子どもたちに対して性加害がおこなわれ、被害者のおひとりの方は約1年にわたり、性行為を強要され、口止め脅迫をされました。

2001年3月にログハウスは閉鎖され、法人の当時の代表理事である奥地圭子氏はその閉鎖理由の説明を頑なに拒んだそうです。

被害者のおひとりはのちに重度の複雑性PTSDを発症し、事件から長い年月を経た2016年、加害者と東京シューレに対して民事提訴をします。

裁判は和解という形になりましたが、奥地氏は提訴されてから和解する直前までの3年間、理事会に提訴の事実を報告せず、原告に対して説明責任、社会的、道義的責任を果たさず、原告の方は加害者組織から二次加害を受けており、それは現在も続いているそうです。

 

そして、事件の加害者は長野のログハウスシューレだけではなく、東京のシューレにおいても性加害をおこなっていたことが判明しています…

 

原告の方のSNS(X)を拝見すると、深刻な希死念慮を抱えながらも、この事件に対する公正な検証を求め、性暴力の被害者がさらに苦しむのではなく、被害者の人権がまず守られることを訴えて、SNSを続けていらっしゃいます。

 

私がこの東京シューレの性加害事件を知ってまず感じたことは、加害者側である東京シューレという支援組織に対する怒りと、被害者の尊厳・命を蔑ろにして、組織の防衛、保身を優先し続けた行為に対する憤激の念です。

 

そして、この事件から見えてくるのは、対人支援という職にたずさわる人間・組織が陥る支配性や暴力性、操作性、隠蔽性、権力構造、人権軽視の態度です。

 

私がいま支援でかかわり続けている当事者の若者も、過去に支援被害というものを受けて、長い年月にわたり苦しみ続けています…

 

東京シューレのこの性暴力事件が何故メディアであまり大きく取り上げられないのか、何故支援者の間であまり話題には上がらないのか。そこに、ジャニーズやフジテレビなどの問題とも通底している根本的な問題はないだろうか…もっと議論や問題提起が起きてもいいのではないかと思いました。

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事件の詳細をお話された下村さんは、この事件はまだ終わっておらず、公正な検証が1日でも早くなされるべきであること、このような事件はどの組織でも、どのフリースクール、居場所でも起こり得ることであり、事件を風化させてはならないと強く訴えました。

そして、被害を受けて声を上げた人が差別や誹謗中傷を受けるという理不尽なことは絶対に許されないことであり、常に社会が被害者の尊厳を守るということを社会全体の共通認識とするべきだ、と語りました。

 

また講演会に参加されていた方々からは、シューレのスタッフは何を思っているのか、シューレに対して裏切られたような気持ちであり、被害者を1人にさせない、支えていくのだ、という決意の声が上がりました。

 

私は対人支援職の1人として、この事件の真実、原告の方の苦しみや訴えを、なるべく多くの人たちと共有したい、風化させてはならないと考え、このブログに書き記したいと思いました。

そして、下村さん、内田さんをはじめとして、支援の活動を民間で長く続けている方々が、事件を決して看過することはできないと、このような講演会を実際に開催されて行動していることに、大きな勇気とパワーをいただきました。

 

発信を続ける原告の方と、寄り添う支援関係者の方々の側に立って、自分自身の支援のあり方、かかわり方も常に内省しながら、支援の活動を誠実に続けていこうと今、気持ちを新たにしています。

 

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行動支援カウンセラー 喜々津博樹

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2025夏 子どもたちに本を贈る

児童養護施設で暮らす子どもたちに、新品の本をお届けしたい。本に触れながら、夏休みやクリスマス、冬休みをたっぷり楽しんでもらいたい…

 

そんな思いから、子どもたちに本を贈る小さな活動を個人で続けています。

今年も夏を前にして、都内のとある児童養護施設に連絡をとり、本をお届けしたいとお伝えしたら、快諾のお返事をいただきました。

 

本のタイトルは自分だけで選ぶのではなく、SNSを活用し、「あなたが夏休みに子どもたちに楽しんでもらいたい本のタイトルを1冊、教えてください」と投稿しました。

すると、その投稿を見てくれたフォロワーの有志の方々が、おすすめの本のタイトルをお知らせしてくれるのです。

私ひとりでは本をいくつも選書することなどとても出来ず、参加された方々が思い思いに自由にご紹介してくれるところが、この企画の面白さ、楽しさでもあります。

 

今回は、私が最近知り合った練馬区の「不登校の親の会」の方々にも初めて声をおかけし、タイトルを募ってみました。

そして、お知らせを始めてから10日ほどで、全部で19冊のタイトルが集まりました。

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私はこの活動で自分なりに決めていることがいくつかあります。

本はよく知られた大手の通販サイトではなく、まず町の本屋さんで購入すること。そしてネットで購入する際は、なるべく本屋さんが運営するサイトを利用することです。

私は今のカウンセラーの仕事をする前は、児童書の出版社に11年間、営業職で勤めていました。

本屋さんはとても身近で、馴染みのある場所で、本屋さんで働く書店員の方々、作家さんにもとてもお世話になり、今もずっと交流が続いています。

 

だから、本屋さんにこそまず利益が渡って欲しい、町の本屋さんがこれ以上無くなって欲しくない、という強い思いがいつも根底にあります。

 

そして、お届けする本は中古の本ではなく、かならず新品の本を買ってお送りすることです。

児童養護施設に暮らす子どもたちは、親から直接本を買ってもらう体験を日常的に持つことが出来ないでしょう。そんな子どもたちに、古本ではなく、ピカピカの新品の本を手にとって、思う存分楽しんでもらいたいと思っています。

 

夏休みにゆっくりと読んでもらいたいので、7月の10日過ぎには届くように発送しています。施設の職員の方々が本を整理、仕分けする時間も必要でしょうから、夏休みに入る直前の忙しい時期は避けるようにしています。

 

本のタイトルを教えてくださる方の中には、私がまだ一度もお会いしたことのない方もいらっしゃいます。

そのような方々と、いつかゆっくりと対面でお会いできたらいいなと秘かに思ったりします。

 

個人の小さな活動なので、多くの冊数をお送りすることは出来ませんが、今後は児童養護施設のみならず、必要とされる場所、お届けできる場所に、ピッカピカの新品の本をお渡しできたらいいなと思っています。

 

カウンセリングサロンぱすてる

行動支援カウンセラー 喜々津博樹

https://www.salon-pastel.net/

狛江市・当事者の居場所「ストレートロード」

東京・狛江市に新しくできた、ひきこもりや生きづらさを抱える方の居場所「ストレートロード」をご紹介したいと思います。

 

この居場所は私も運営に深くかかわっており、「対話を中心とした居場所」というコンセプトが、とても大きな特徴となっています。

 

狛江市社会福祉協議会コミュニティソーシャルワーカーCSW)の方から私宛にご相談を受けたのが、今年の2月でした。

狛江市にひきこもりの当事者の居場所を作り、グループ対話を通じて自らの気づきを得られるような場所、語り合いの場にしたい、そのファシリテーター・進行役として私に入ってもらえないかというご相談でした。

 

そのようなお申し出は大変ありがたく思いましたが、私からは「当事者の居場所であれば、支援者が進行するのではなく、当事者が中心となって作っていった方がいいのではないか」という提案をさせていただき、社協の方もその提案を受け入れてくれました。

 

そして狛江市内のいくつかの関係機関と連絡をとり、3月下旬に、世話人に手を挙げてくれる当事者の方が見つかりました。私はサポーターという役回りで運営に参加し、当面は社協の方々が活動をバックアップしていくという形で、準備、打ち合わせを進めていきました。

その過程では、杉並区ですでに居場所活動を実践している当事者の世話人の方にもご協力と助言をいただきました。

 

居場所の名前は、当事者の方が自ら考えた「ストレートロード」に決まりました。

「他人からどう思われるかではなく、自分はどうあるべきか、自分のありのままに生きていこう」という意思がその名前には込められています。

 

5月31日。ストレートロードの第1回が開催されました。会場は社協が狛江市から運営を受託している「ふらっとなんぶ」という多世代交流スペースの中のひと部屋です。すぐ近くを多摩川が悠々と流れ、土手の上には眺望のよい遊歩道がずっとのびています。

当日は強い雨と風が吹きつけるあいにくの悪天候となってしまいましたが、市内外から3人の方が来てくれました。

当事者の方が初めての体験となる司会・進行を務め、スタッフを含めた参加者が自分自身のことを思い思いに語り、いま抱えている気持ちや考えを交換し合いました。

後半はフリータイムとなり、部屋に用意された温かい飲み物をいただきながら、テーブルを囲んで自由に歓談する時間となりました。

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初めての試みとなる、当事者の対話の居場所でしたが、全体的にとてもあたたかな雰囲気で開催が出来たこと、参加された方々が自分も含めて、話したいことを話せる空気感が滲み出ていたことをとても嬉しく思いました。

何より、世話人の方の、全体を見渡した気遣いや優しい声かけが、その空気感を生み出す源になっていたなと感じます。

 

当事者が作る対話の居場所。

これからどのような形へと展開・発展していくのかわかりませんが、ひとりのサポーターとしてかかわりながら、当事者の人たちが安心して参加できる場所、ありのままの自分を表現できて、新たな気づきや学びにつながるような対話の場を、一緒に作っていけたらと思っています。

第2回目のストレートロードは、6月24日(火)14:00から、ふらっとなんぶにて開催します。

 

カウンセリングサロンぱすてる

行動支援カウンセラー 喜々津博樹

https://www.salon-pastel.net/