ひきこもり訪問支援 ぱすてる

自分らしく生きるためのカウンセリング

共に歩む講演会

2月3日。西東京市の田無公民館で、ひきこもり、生きづらさをテーマにした講演会が開催されました。

講演を企画したのは、TOMOPO(共歩)という西東京市でひきこもりのお子さんを持つ親御さんが中心となって活動している会です。

私もこの講演会の運営にかかわったので、今回はその準備の日々をふり返ってみたいと思います。

 

TOMOPOは、ひきこもりの親御さんだけでなく、地域の市民の人たち、当事者、経験者の人たちも「助っ人」となって、バザーを開催したり、駅前の清掃をおこなったり、畑で野菜を作って収穫したりと、みんなで共に歩んで助け合い、活動しているのが大きな特徴です。

私も支援者という立場ではなく、近隣の市民の1人として活動に参加し、時に情報をお届けしています。

 

年1回、ひきこもりへの理解や会の活動を広く知ってもらうために、公民館との共催で講演会もおこなっています。

今年はひきこもりの人たちや生きづらさを抱える人たちをサポートする活動を続けている「生きづらわーほりプロジェクト」代表の冨安義樹さんをお呼びして、お話をしてもらうことになりました。

 

この講演会では私にも役割が与えられました。

講演のチラシを、私がかかわっている当事者の方に作ってもらうことです。

 

私が訪問支援をしている方で、今は外出するのは難しいけれど、かつて印刷会社に勤めていたことがあり、チラシのデザインが出来るという男性がいます。

報酬を支払う「仕事」として、彼にチラシの制作をお願いしてみると「ブランクがあるので大層なものは作れないかもしれませんが、お引き受けしてみたいと思います」と返事をしてくれました。

 

チラシのデザイン制作は、部屋の中でパソコン1台で作業が出来て、原稿の校正、納品などもすべてメールでやりとりすることが可能です。

会の代表の方と彼との間には私が入り、やりとりを中継する役を担いました。

いざ原稿を送ると、彼の作業の速さに驚きました。

初校が早々と出来上がり、その後の細かな修正依頼にも素早く対応してくれて、タイトなスケジュールにもかかわらず、締切の前に完成品を仕上げてくれました。

 

彼は醜形恐怖のために外出をためらい、人と交流することが難しい状態でしたが、このチラシ制作を機に、TOMOPOの代表の方と初めて対面でお会いすることが出来ました。

私もその対面の時に同席しましたが、「チラシを作りながら、働いていた頃を思い出し、仕事のやりがいってこういうことなんだ、新たに進むきっかけをもらいました」と彼が語るのを横で聴いていて、思わず涙が溢れ出てきました。

f:id:salon-pastel:20240225093258j:image

彼が制作してくれたチラシを印刷し、TOMOPOのメンバーの人たちがこの講演会を成功させるためにみんなで手分けをしてチラシを配りました。

私もチラシの画像データをメールに添付して、都内の支援機関、関係機関の人たちにお送りしまくりました。

 

そして2月3日の講演会には50名以上の人が来場し、彼も勇気を振り絞って、親御さんとともに来てくれました。

当初は「最後までいられるかわからない」と言っていましたが、講演が終了してからも初対面の同世代の方と長い時間にわたり話をしていて、結局、最後まで親御さんと一緒に会場に滞在することが出来ました。

 

この講演会を通して、ひきこもりの人たちへのかかわり方にはこんな形もあるのだ、ということを私自身が体験しながら学ぶことになりました。

講演会やイベントは、その内容自体もさることながら、その企画と準備、運営そのものが、人との出会いや新たな気づき、変化につながっていく可能性を持っているのだ、ということをたしかに実感することができました。

 

カウンセリングサロンぱすてる

行動支援カウンセラー 喜々津博樹

https://www.salon-pastel.net/