3月は傾聴の講座のご依頼が偶然にも続きましたので、今回は傾聴について書きたいと思います。
傾聴とは、相手のことを理解しようとして耳を傾けて聴くこと、積極的に関心を向けて共感的に聴くこと。その聴き方であり、心のあり方でもあります。
私はカウンセラーとして傾聴を学びましたが、傾聴は実に奥が深く、難しいものだと日々実感し、今も傾聴を学び続けています。
傾聴を学んでいくと、それが単なるスキルやテクニックではなく、自身の心のあり方、態度、人としてのあり方でもあると感じるようになっていきました。
だから、人と人とのコミュニケーション、関係性において傾聴はとても大切で必要なものであると認識し、支援関係者だけではなく、一般の方々への研修・講座にも力を入れるようにしています。
3月は初旬に千葉の松戸市にて、民生・児童委員と生活支援員の方々に、傾聴の基本講座をおこないました。
その翌週は東京の日野市にて、傾聴ボランティア養成講座という連続講座のひとコマとして「生きづらさを感じている人の理解」というテーマで、市民の方々に傾聴のお話をする機会をいただきました。

傾聴の講座では、傾聴の態度、技法、効果といった基本的なことを説明した後に、かならず1対1でのセッションを体験してもらいます。聴き手と話し手の両方を体験してもらうことで、傾聴がどういうものであるのかを体で感じてもらい、相手を理解するための聴き方とはどういうことなのかを実体験を通して学んでいただきます。
日野市の講座では40人近い受講者の方々が参加されましたが、机を並べた講義形式ではなく、みんなでひとつの輪になって椅子に座り、一体感を感じられるように進行してみました。
セッションの時には受講者がイスを動かし、聴き手が話し手の話しやすい位置や向きを整えてから話を聴く、という「かかわり行動」をしてもらいました。
これは私が傾聴を学んだ、産業カウンセラーの養成講座の実技講習のやり方を踏襲したものです。
座学では、同感と共感のちがい、傾聴とカウンセリングのちがい、傾聴の限界と誤解、といった内容を盛り込み、傾聴と密接に関係があるアサーティブ・コミュニケーションについてもお話しました。
私がおこなう傾聴の講座では、体験のふり返りの時間は作りますが、出来不出来を細かく評価したり、採点をしたりはしません。
傾聴体験を味わうことで、受講者の方が気づきを得たり、戸惑ったり、新たな発見をして、自ら学びを進めていくきっかけを作れたらと思っています。
傾聴を学び実践していく中で、相手を理解するためにはまず自分自身を理解しようとすること、自分の気持ちや状態に気づき、自己の内面と向き合っていく時間の大切さを、私は感じるようになりました。
カウンセラーとして、1人のひととして、傾聴をより身近に感じてもらうための活動を継続しておこなっていきたいと思います。
カウンセリングサロンぱすてる
行動支援カウンセラー 喜々津博樹