最近、傾聴の活動やお話し会を個人でおこなっている方々と、オンラインを通じて出会う機会がありました。
このコロナの渦中、皆さんオンラインを活用して自由に独自に活動されており、とても楽しく新鮮で、親近感を感じました。
その方々は、距離を超えてお互いの話を聴いたり対話をしたりといった、傾聴活動や交流会を純粋に楽しんでいるようで、いわゆるカウンセリングを志向しているわけではないようです。
では、カウンセリングと傾聴のちがいとは何なのだろう、〈傾聴カウンセラー〉を名乗って活動している自分の立ち位置は何だろう?、という問いが自然と湧き上がってきて、ここで整理をしておきたいと思いました。
まず最初に、傾聴とカウンセリングとは何ぞや、というところから書いてみます。
傾聴とは?
傾聴とは、相手の話に耳を傾けて熱心に聴く、相手のことを正確に理解しようとして、共感的に「聴く」ことでしょうか。
受け身のように「聞く」のではなく、取り調べるような「訊く」でもありません。
傾聴のスキルとマインドは日常生活や仕事上においても、大変役立つコミュニケーション作法であり、誰もがその基本を学んで、実生活で活用することが出来ます。
傾聴の効果には、安心感を得たり、自己理解、自己受容の促進、行動変容への展開、カタルシス効果などがあり、傾聴によって、信頼関係が築かれ、新たな気づき、変化が生まれます。
カウンセリングとは?
カウンセリングとは、人が抱える問題や悩みの解決のために、専門的な理論と方法に基づいて行われる援助行為です。
それは科学的・臨床的な知見に基づいた心理学的な援助を意味しており、カウンセラーは専門的な学習とトレーニング、十分な経験を積むことが求められます。
カウンセリングには実に多様な理論、方法があり、来談者中心療法、認知行動療法、精神分析、ゲシュタルト療法、箱庭療法など、一度はその名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
カウンセリングは傾聴を基盤としてすすめられることが基本であり、絶対要件となっています。ですからカウンセラーは、傾聴の態度と技法を身につけておくことが大前提になります。
ここまで書いてきて、傾聴とカウンセリング、それぞれの性質、重なり合う関係が見えてきたでしょうか。
カウンセリング・プロセス
そしてカウンセリングには、問題解決に向かうためのカウンセリング・プロセスが存在します。
カウンセリングの理論によってプロセスに違いはありますが、私が学んだ日本産業カウンセラー協会は、傾聴を核としたカウンセリングをおこなう上で、以下のようなプロセスモデルを明示しています。
〈カウンセリング・プロセス〉
① リレーションづくり(信頼関係の形成)
② 問題の把握(自己理解、自己探索)
③ 目標の設定(意思決定)
④ 目標の達成(方策の実行)
カウンセリングは、達成すべき具体的な目標を明確に持ち、その目標に向かって発展的かつ継続的に進んでいく、という体系的な方向性を持っています。
このカウンセリング・プロセスという援助過程を経て、
・問題行動や症状の改善
・心理的な問題解決
・自己肯定感、自己効力感の増大
・対処能力の向上、ストレス耐性の増進
といった様々な効果につながります。
そして、相談に来られる方をなにより尊重し、本人の人間的な成長、社会の中で幸せに生きていくためのサポートをすることこそが、カウンセリングのメインテーマといえるでしょう。
傾聴カウンセラー
カウンセリングと傾聴の違い、両者のつながり、関係性というものが、少しは伝わりましたでしょうか?
私自身は、傾聴カウンセラーという肩書きを自分で作り、名乗っています。
傾聴を身につけるのはカウンセラーとして当然だとしても、この傾聴を日頃から大切にしていたい、身近に感じてもらいたい、という意志を名前に込めています。
傾聴を常に基本としながら、カウンセリングのプロセスを軸に据えて、カウンセリングをすすめていく…
カウンセラーとしての根源的な部分を大切にしながら、これからも活動を続けていきたいと思います。
カウンセリングサロンぱすてる
傾聴カウンセラー 喜々津博樹