先月28日、千代田区にある東京地方裁判所に初めて足を踏み入れました。
現在裁判がおこなわれている「結婚の自由をすべての人に」訴訟の東京第2次訴訟・第9回口頭弁論期日を傍聴応援するためでした。
同性同士のカップルがこの日本において法的に結婚できないことは、憲法に違反しているとして、2019年の2月14日、国を提訴する集団訴訟が日本で初めておこなわれました。
LGBTQについて昔から関心があり、差別や偏見に触れ、同性婚が日本では法律で認められていないことに疑問を抱いていた私は、実際に行動を起こした原告の人たちを応援するため、オンラインでの署名に参加しました。
応援はもっぱらSNS上で、訴訟で活動している人に実際に会うこともなく、最近は裁判の動向もきちんとチェックしていなかったのですが、そんな私に転機が訪れました。
9月に初めて参加した「調布LGBT &アライの会」という交流会で、当事者の仲間という意味である「アライ(ALLY)」を自ら名乗り、書籍を出版し、この同性婚訴訟をずっと応援している方と出会ったのです。
東京での裁判が近日中にまたおこなわれること、傍聴しに行くことが原告の人たちへの力強い応援となり、裁判官やマスメディア、世間に対しても訴える力になることをそのアライの方からじかにお聴きし、心動かされました。
裁判の傍聴は傍観ではなく、結婚の自由を求めて現実にたたかっている人たちの味方になって応援するためなのだ、その一歩を自分で踏み出そうと思い立ちました。
9月28日の13時過ぎ、まだ真夏のような陽射しが強くふり注ぐ霞ヶ関駅の地上出口には、応援のタオルやプラカードを掲げている方々がすでに集まっていました。
第1次訴訟の原告の方、弁護士の方、当事者団体の方、アライ、学生の方々など、さまざまな応援者がどんどん集まってきて、みんな雰囲気が明るく、活気が漲っていました。
やがて原告の人たちが横断幕を広げて、弁護団とともに広い歩道を堂々と歩きながら、裁判所の中に入っていきました。
103号という法廷に入ると、傍聴席の仕切りの向こうにはすでに原告のカップルと弁護団の人たちがズラリと座って待機をしており、厳粛な空気にあふれていました。
裁判長と裁判官が登場し、14時に裁判が始まりました。この日は口頭弁論期日といって、原告代理人の2名の方が意見陳述として用意した書面を読み上げました。
被告側の代理人が、書面の提出の仕方について原告に対して強い口調で抗議をする場面がありましたが、裁判自体はおよそ40分ほどで終了し、裁判を傍聴席の最前列で見られたことは、とても貴重な体験になりました。
閉廷後は近くの弁護士会館で、今日の裁判の期日報告会がおこなわれました。
この報告会が裁判と同じくらいに大切なイベントに感じられ、訴訟の活動を支援・発信している団体 Marriage For All Japanが生配信をおこない、裁判に出席した原告、弁護団をはじめとして、この日集まった人たちがひとりひとり自己紹介をして、交流する場になりました。
その光景は、大きな大きな目標に向かって集まったひとつのチーム、まるで大きな家族のようにも感じられました。
私はかなり緊張しましたが一市民として、カウンセラーとして初めて傍聴に参加できたことの嬉しさと感謝の気持ちを、皆さんにお伝えすることができました。
結婚の自由をすべての人に。
同性婚訴訟のこの裁判は、結婚を望む同性カップルの問題にとどまらず、個人の生きる尊厳、人権の問題として、この国に暮らしているすべての人にかかわる問題だと私は思います。
誰もが法の下で安心して幸せに生きられる社会を作るために、同性婚の法制化を実現していく活動を、ひとりの仲間としてこれからも応援していきたいと思います。
裁判所の入口で傍聴応援の人たちと一緒に
撮影:「結婚の自由をすべての人に」東京訴訟応援チーム
公益社団法人 Marrige For All Japan - 結婚の自由をすべての人に
https://www.marriageforall.jp/
カウンセリングサロンぱすてる
傾聴カウンセラー 喜々津博樹