ひきこもり支援の事業をする中で、とても大切にしている活動のひとつが、地域のひきこもり家族会への参加です。
家族会は、ひきこもりのお子さんを持つ方や、兄弟姉妹がひきこもっているという方々が定期的に集まり、ご自身の家族の話をしたり、情報交換をしたり、時には講演会や学習会、イベントを企画・開催したりしています。
参加を家族のみと限定しているケースは稀で、関係者、支援者、関心を持つ人が参加でき、ひきこもりのご本人が入ることもあります。
また、その地域・自治体に住む人だけでなく、遠方から参加する人が結構いらっしゃいます。
ひきこもりの支援を始めて気づかされたのですが、ご家族によっては知り合いの目を気にされて、地元ではなく、距離の離れたエリアの家族会を訪ねるそうです。
私は活動の当初から、ひきこもりのご家族の実際の声に触れ、学ばせていただくとても貴重な機会と捉え、各地の会に連絡をとってきました。
これまでに学習会も含めて、練馬区、世田谷区、荒川区、西東京市、国立市、狛江市、松戸市の家族会に参加しました。
参加して気づいたのが、活動の内容、運営形態が会によって違いがあり、それぞれ特色があることです。
ご家族の方々が立ち上げて、主体的に運営している会もあれば、社会福祉協議会が関わり、主導しているところもあります。
また、集まって話を交わすだけでなく、運動体としてやっていこうと理念を持ち、地域の清掃活動やバザーの開催、農園での栽培・収穫作業に取り組む会もあります。
参加人数は、10人前後から15人ぐらいが多いでしょうか。今はコロナ禍で参加を控えている人も結構いるかもしれません。
気になるのは、どこの会も参加者のほとんどは女性で、男性、父親の参加は非常に少ないことです。
この男性が少ないという事実は、ひきこもりと家族、日本の社会について考える時の、大きなポイントになる気がします。
そして、ご高齢の親御さんの参加が少なくないことも、8050問題を肌で実感させられます。
私は毎回、支援者・カウンセラーとして出席し、ご家族が近況や悩みを話す姿に耳を傾けています。
なるべく聴く側に徹しているのですが、カウンセラーとしての言葉を求められる場面も多く、自分の考えや感じたことを話す機会がよくあります。
家族会の雰囲気にまだ慣れていないこともありますが、今の私の悩みは、コメントを求められた時に、つい気持ちが昂って語気が強めになり、カウンセリングや傾聴について熱く語ってしまうことです。
このような会に参加して、初めて気づくのですが、ふだん1対1のカウンセリングに慣れているせいなのか、10人前後の人前で話す時は余計に緊張して、力んでしまい、後で後悔するのです。
ご家族に対して、つい強い口調で話してしまった、不快に思われていないだろうか、もう来ないで欲しい、と言われていたらどうしよう…
そんなことをつい考え込んでしまうことがあります。
家族会でとてもいいな、と感じているのは、ひきこもりを実際に経験した方や、ひきこもりではないけれど、生きづらさを抱えている方、依存症、統合失調症などの疾患を抱えている方が一緒に参加している時です。
ご家族とはまるで違う視点の話をして、場の雰囲気がぐるっと変わることがあります。
そんな個性的な人たちとも出会い、会話を交わすのもとても貴重で楽しいひとときです。
今は、ご家族とかかわり、ひきこもりのご本人に寄り添っていくために、さまざまな家族会に顔を出して、学びの日々を続けていきたいと思っています。
カウンセリングサロンぱすてる
傾聴カウンセラー 喜々津博樹