ひきこもり訪問支援 ぱすてる

自分らしく生きるためのカウンセリング

木村花さんのこと

今月のブログは、木村花さんについて綴りたいと思います。

5月23日、東京・後楽園ホールへ木村花さんのメモリアルマッチを観戦してきました。

 

木村花さんはプロレスラーとして活躍していましたが、3年前の2020年5月23日、出演した番組がきっかけでSNSで無数の誹謗中傷を受け、自らその若い命を絶ちました。享年22歳でした。

 

お母様の木村響子さんも長い間プロレスラーとして活躍された方で、たった1人の娘である木村花さんを育て上げ、レスラー花選手を応援し支えていました。

そのお母様は花さんの死後、花さんの名誉を回復するため、そしてネットにおける誹謗中傷を終わらせるためにNPO法人を自ら立ち上げ、活動を開始しました。

 

メモリアルマッチは花さんの命日に木村響子さんが毎年主催されていて、花さんとゆかりの深い選手たちが団体の垣根を超えて集まり、熱く楽しい試合を毎回繰り広げています。

私は一周忌の年はオンラインで自宅から観戦しましたが、昨年からは後楽園ホールに足を運び、生で観戦しています。

私はプロレスが好きで、デビュー間もない10代の木村花選手の姿を見ており、リングで闘っている姿や試合前にファンと親しく交流している姿をこの目で間近に見ているので、その死を知った時はとてもショックでした。

しかも亡くなった原因が、プロレスの試合とは何も関係のない番組とあまりにも醜い誹謗中傷であると知った時は、言いようのない怒りと悲しみが湧き上がりました。

 

花さんの命日にメモリアルマッチを観戦することは、花さんをずっと忘れずに心に留めていたいという気持ちと、お母様の木村響子さんの行動を応援していきたい、誹謗中傷をこの社会から根絶したいという思いがあるからです。

 

木村響子さんが社会に向かって動いたことで、昨年2022年6月、改正刑法が成立し、侮辱罪の厳罰化が実現します。また10月にはインターネットのプロバイダ責任制限法が改正され、悪質な発信者・投稿者を特定する手続きが簡素化されました。

木村響子さんは現在、花さんが出演した番組「テラスハウス」を放送したフジテレビと番組制作会社を提訴し、真相を究明しています。

 

メモリアルマッチ終了後、後楽園ホールの出口で木村響子さんから直接チラシとステッカーをいただき、お礼を伝えてホールを出ました。

来年も、花さんを想いながら、この地に来たいと思います。

 

NPO法人 Remember Hana −ヤサシイハナをサカセマショウ

http://rememberhana.com/

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カウンセリングサロンぱすてる

喜々津博樹

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産業カウンセラーの交流会に参加して

5月3日、産業カウンセラーの有志による交流会に参加してきました。

その交流会がとても刺激的で楽しい時間でしたので、そのことを今回は綴りたいと思います。

 

私は一般社団法人の日本産業カウンセラー協会の登録会員になっています。

産業カウンセラーとは、働く人とその組織、家族を心理的に支援するために、主に産業・労働分野などで専門的に活動しているカウンセラーです。

産業カウンセラーの資格にはいくつかの特色があり、ひとつは学歴や履修などに関係なく、働きながら、もしくは定年後にも取得できる民間の心理資格であることです。

そしてカウンセリングの実技に力を入れており、傾聴の体験学習として100時間以上の実習時間が必要になります。

また受講者にはさまざまな職業、属性、年齢層の人がいることも特徴で、カウンセラーを目指す人だけでなく、今就いている仕事に活かしたい人、カウンセリングを基本から勉強したい人、家族に問題を抱え、聴く力を身につけるために講座にやって来る人もいます。

 

今回の交流会は、産業カウンセラーの講座修了後も自主的に勉強会を続けている人たちからお誘いをいただき、江東区の産業会館に10人が集まりました。

お互いの自己紹介から始まり、情報交換、興味関心などを自由に語り、質問したり、分かちあったりしました。

 

私にとっては初対面の方ばかりでしたが、とてもよかったのは、カウンセリングの資格を持ちながら、それをどう生かしていくのか、これからどう活動していきたいのかといったテーマを中心に、立場や境遇の違う人たちが積極的に自己を開示しながら、真剣に自由に話し合えたことです。

みんな目的意識を持って参加されているので、対話や話題のボールが心地よいほどに弾み、転がり回転していき、あっという間に終幕の時間になってしまいました。

 

場所を変えて、お酒を交えての懇親会でも話題は尽きず、そこでも私はカウンセリングにまつわる話ばかりしていましたが、それが本当に楽しく、料理やお酒よりも話す方、聴く方がメインディッシュになっていました。

 

産業カウンセラーという共通の資格、勉強を続けてきた仲間ならではの温かい空気感、親近感が今回の交流会には溢れていました。

普段の仕事は個人事業として独りで活動していますが、仲間とのつながり、情報交換・共有はこれからも大切にしていきたい。カウンセラーとしての経験をより豊かにしていきたい。

そんな思いをあらためて強くした今年のゴールデンウィークです。

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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傾聴の講義をおこないました

地域の訪問ボランティアの方々を対象とした傾聴の講義を先日おこなってきました。

 

ご依頼をいただいたのは、大田区社会福祉協議会のおおた地域共生ボランティアセンターです。

「ほほえみ訪問事業」という、大田区内にお住まいの高齢者や障害者を定期的に訪ねる事業があり、その訪問活動をしている方々に向けた傾聴の講師のご依頼を受けたのです。

 

カウンセラーとして、傾聴を世間に広めていきたいという気持ちはいつも持っているので、今回のオファーはとてもありがたいものでした。

昨年、日野市のひきこもり家族会で傾聴のお話をしており、その時に作った資料を見直し、新たに追加要素を盛り込んで作り直しました。

講義だけでなく実技も取り入れようと、傾聴を実際に体験するワークの内容を考えてみました。

 

3月30日、JR蒲田駅にほど近い大田区消費者生活センターの集会室にて、社協主催のほほえみ訪問事業・事務連絡会が開催されました。

ボランティアの方々が12名、地域福祉コーディネーターの方々が5名参加され、私は連絡会の前半部分で講義を担当しました。

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傾聴とは何ぞや…から始まり、傾聴の基本的態度、効果と技法、同感と共感のちがい、カウンセリングとは、という流れで話をしましたが、時間の制限もあって、かなり駆け足の説明になってしまいました。

1対1の対面による実技ワークでは、話を聴くだけでなく、お互いのフィードバックの時間も作り、「相手を理解しようとして聴く」とはどういうことなのか、聴き役と話し役の両方を体験して味わっていただきました。

傾聴の最中は、皆さん熱心にうなづき、相槌を打ちながらお話を聴いていて、とても活発で賑やかな雰囲気が生まれていたと思います。

 

約1時間の講義・実技の後は、質疑応答と活動報告の時間となり、参加者からの質問と自己紹介、日頃の訪問のお話をお聴きしました。

ご質問にはその場で回答はしましたが、もっとこう伝えればよかった、ここの説明が足りなかったかもしれない…と後になって反省しきりになります。

 

そして、地域で訪問をされているボランティアの方々のお話をまとまった時間で聴くのは私にとっては初めての体験だったので、そのお話内容は学ぶことや気づくことが多くあり、とても貴重な時間となりました。

 

今回ご縁をいただき、大田区社協の方々、ほほえみ訪問事業の方々と交流することが出来ました。

今後はひきこもりの訪問支援と並走して、傾聴をはじめとする講師の仕事にも力を入れていきたいと思いました。

仕事と経験の幅を少しずつでも広げていけたらいいなと思います。

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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ひきこもりの外出同行支援

私はひきこもりの訪問支援をカウンセラーとしておこなっていますが、外出同行の支援について今回は書いてみたいと思います。

 

訪問支援は、ひきこもりの本人が暮らす自宅を訪ねて、本人にお会いできれば、家の中でお話を聴いたり、一緒に時間を過ごします。もしお会い出来ない場合は、本人を尊重して決して無理に会おうとはせず、まずは家族と面会を重ねます。

 

私が支援している当事者は、まだ日常的に外出が困難な状態の方がほとんどなのですが、みんな外に出るきっかけを探している最中の人たちです。

私は訪問によるカウンセリングを続けながら、少しずつ本人と信頼関係を築き、次のステップとして、一緒に外出をする機会を作っていきます。

 

当事者が外出を躊躇うのは、かならず理由があります。その理由、原因を理解し、明らかにしてから本人に丁寧に説明をして、本人の意思を確認してから行動に移していくというプロセスを踏みます。

 

外出が難しい理由のひとつには社交不安も含まれているケースがあり、電車やバスといった公共交通機関もまだ利用することが出来ません。

そこでまず出来るのは、近隣の散歩に一緒に行くことです。そして、その次に私が考えたのが、レンタカーを利用しての中距離ドライブです。私は車を所有していないので、家族の了解を得て、レンタカーを予約します。

 

車のドライブにはいくつもの利点があるのです。

まずひとつは、外界と仕切られた小さな個室の空間なので、移動しながらプライベートが保たれること。部屋と同じように1対1で自由に話が出来ること。そして、運転席と助手席が向かい合うのではなく、同じ方向で同じ景色を見ながら、会話を続けられることです。

走りながら、どんどん周りの景色が変わっていくことも、日常とは違う新鮮な変化をもたらしてくれます。

 

先週末は支援をしている若者と、立川市国営昭和記念公園へ初めてドライブに出かけました。

小一時間のドライブの後、広大な公園をゆっくりと一緒に散策しました。平日の公園は人も少なく、ストレスもかかりません。でも当人にとっては、見知らぬ人とすれ違うだけでも疲れたようです。帰りはわざと往路とは違う道を走り、窓越しの景色を眺めながら、おしゃべりを楽しみました。

 

このドライブによる外出同行は、環境療法であり体験療法のようなものかもしれません。ドライブ中に会話や音楽・ラジオを楽しめるのも大きな魅力で、リラクゼーション効果も期待できます。レンタカー代や駐車料金などは、まとめて家族にご請求しています。

 

ドライブの訪問支援は、社会に出るためのステップのひとつであり、本人の状態に変化が見えてきたら、また次の新たなステップを考えています。

一歩ずつ一歩ずつ、本人の意思と意欲、力を感じながら、一緒に歩んでいきたいと思います。

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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アサーティブ・コミュニケーション入門

私がカウンセリングの法人契約を交わしているNPO法人で、先日スタッフの方々に向けた研修をさせていただきました。

研修の大きなテーマはコミュニケーション。そこで法人の代表の方から「アサーティブ・コミュニケーション」について話してもらいたいというご依頼をいただいたのです。

 

研修をおこなうのは、西東京市で知的障がい者グループホームを運営しているNPO法人地域福祉マリーナ様です。ご縁をいただき、スタッフの方々のカウンセリングを契約カウンセラーとしておこなっています。私がこの法人様で前回おこなった研修テーマが「アンガーマネジメント」だったので、今回はその時の内容に密接につながっていくテーマでした。

 

アサーティブ・コミュニケーション(アサーション)という言葉は、心理学を学んでいる人にとってはとても馴染みのあるワードかと思いますが、その内容・意味が世間一般に広まっているとはまだ言い難い、と感じていました。そんな折にこのテーマのご依頼をいただき、とても貴重な機会になると思いました。

 

アサーティブ・コミュニケーションは行動療法のひとつとして1950年代にアメリカの心理学者によって開発され、自分も相手も大切にする自己表現であり、自他尊重のコミュニケーションです。

本やネットには、コミュニケーション・スキルの1つとして紹介されているのを見かけますが、スキルという言葉には違和感を感じていて、コミュニケーション・マインドといった方が私にはしっくりきます。学べば学ぶほどに、技法よりも心持ちや態度が核になっていると感じるからです。

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研修のタイトルを「アサーティブ・コミュニケーション入門」と題して、資料を作成しました。当初この研修は昨年夏におこなわれる予定だったので、原稿自体は出来上がっていましたが、今回あらためて原稿を見直して、細部を作り直しました。

オンラインでの研修ということもあり、Zoomの画面上でページを見せる際の配慮も必要だとあらためて思ったのです。文字の大きさと行の間隔、余白の広さなど、紙の資料とはまた違う仕様へと作り変えていきました。

 

当日は約1時間強の研修となり、アサーションの定義と歴史から始まり、自己表現の種類、アサーションの特徴・ポイントを具体的な例を挙げて紹介しながら、PDFを使ってお話していきました。また、アンガーマネジメントと傾聴についても、大切な内容として説明を加えました。講話だけではなく、簡単な自己チェックやワークも取り入れながら、なるべく参加型の研修になるように工夫したつもりです。

最後の質疑応答やワークでは、スタッフの方々から積極的に手が挙がり、熱心に参加いただいていることが実感できて、とても嬉しく思いました。

 

今回は研修が終わった後、スタッフの人たちの事例検討のグループワークにもそのまま一緒に参加させていただき、普段お話していない方々と画面上で交流をしました。その時間がとても新鮮で楽しく、現場で働く方々の生の声に触れることが出来ました。

オンラインで人と交流をしていると、不思議なもので、この次は対面でお会いしたい、直にあいさつを交わしたいという気持ちが芽生えてきます。

カウンセリングでも、オンラインは便利で都合がよい時もありますが、次のステップに進みたいと思うと、やはり対面での交流を望むようになります。この感覚は、ひきこもり支援の現場でも生かすことができるのではないかと、ふと思いました。

 

今後もカウンセリング事業やひきこもりの支援活動と並行して、研修・講座のお仕事も積極的にお受けしながら、日々自己の研鑽と学びを続けていきたいと思います。

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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2023年、新年の思い

2023年が始まりました。この1年を自分はどんな思いで動いていくのか、ブログに書き留めてみることで整理をして、気持ちを新たにしたいと思いました。

 

個人事業で始めたカウンセリングとひきこもりの支援が、今年も自分の活動の中心になります。

ボランティアからスタートしたカウンセリング業は、今は職業として有料でおこなっていますが、まだまだ認知は進んでおらず、今年は心理カウンセリングという「専門サービス」をもっと世間に広めていく活動、ご依頼の件数をもっと増やしていく努力をしていきます。

 

ひきこもりの支援については「開業カウンセラーがおこなっている訪問支援」という特色をさらに明確に打ち出していかなければと感じています。

ひきこもり・不登校の支援はその性質として、主に地域福祉、保健、医療、教育、就労などの領域にまたがり、公的な機関もしくは行政から委託を受けた民間団体が、配分された予算の中でおこなっていることが大半でしょう。

 

心理職の民間個人が、どこにも属さず制約を受けずに、さまざまな機関と横断的につながり、「訪問支援サービス」という個別契約に基づく有償サービスを、当事者とその家族に提供していく…それが私の支援事業になります。

一次的な相談の受け皿ではなく、継続的で指向性、発展性を持ち得る、カウンセラーによる当事者への心理的なサポート、家族支援をもっともっと周知していく必要があると感じます。

 

昨年2022年は、心理カウンセリングの法人契約を開拓したくて、社会福祉法人、学校法人、中小企業、NPOといったさまざまな民間の法人組織にカウンセリングの営業活動をおこないましたが、成果はほとんど得られませんでした。

心理カウンセリングに対するイメージや認識を変えて、広げるための方策、支援者への支援というテーマを、今年はもっと研究して探っていこうと思います。

 

カウンセリング事業は仕事としておこなっていますが、社会貢献活動としても続ける意義が大いにあると思っています。

私がカウンセリングをボランティアで始めた動機のひとつは、社会で孤立していく人、自ら命を絶とうとする人に寄り添いたい、尊い命をつなぎたいという思いでした。

 

自殺防止のための活動や無料体験のカウンセリング、児童養護施設との交流は今年も変わらず続けていきたいと思います。

 

こうして書き留めていると、体の内側からなんだかエネルギーが沸々と湧いてきて、今日も新しい一歩を踏み出したい、素敵な人たちに出会い、日々つながって成長していきたいという気持ちがあふれてきます。

 

2023年。社会が、そしてこの世界が、幸せと温かさを感じられて、今日という日を豊かに生きていくことができますように。

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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子どもたちに本を贈る

この12月、児童養護施設で暮らす子どもたちにクリスマスプレゼントの本をお届けしました。

その本を選んだのは、SNSで私がつながった方々で、その中には一度も対面でお会いしたことのない方が何人もいました。

 

施設で暮らす子どもたちに、以前は私が買って読み終えた児童書をたまに送っていましたが、プレゼントを届けるなら中古の本ではなく、子どもたちに新品の本をお届けしたいという気持ちがだんだんと強くなってきました。

そこで、Twitterを活用し、子どもたちに楽しんでもらいたい本をフォロワーの人たちに自由に選んでもらおうというアイデアが浮かんできました。

その選んでもらった本を私が街の本屋さんやネット書店で購入し、施設に直接お届けしようと。

 

その企画を最初におこなったのが昨年のクリスマスシーズンです。

告知のツイートをしたら、フォロワーの方々から続々と本の紹介が届きました。

今年の6月には、夏休み企画としてまたTwitterで本のタイトルを募ると、やはり作品名を教えてくれる方々がほどなく連絡をくれました。

夏は場所を変えて、新たに連絡をとった児童養護施設に本をお送りしました。

 

3回目となる今回は、昨年の冬と同じ施設に送ることにしました。

毎回思うことですが、告知してどんな反応が返ってくるのかはまったく予測がつかず、どんな結果になるかもまったくわかりません。

顔見知りの方には声をかけず、ツイートを見た方が自由に誰でも参加できる企画にしたいと思いました。

それでも私が声をかけたのは、支援でかかわっているひきこもりの若者です。

 

今回はお知らせのツイート後、数日間は反応がほとんどなく、ちょっと不安になりました。

このまま本のタイトルがほとんど集まらなかったらどうしよう、3回目とはいえ、こういう企画をSNSで根付かせるのは難しいのか、と考えたりしました。

しかし、SNSの性質を思い起こすと、利用者は投稿を頻回に見る人ばかりではないこと、ツイートはタイムラインで流れて埋もれてしまう可能性が十分にあることが想像できました。

そこで、告知ツイートをしつこいぐらいに毎日粘り強く打ってみました。誰かが見ているかもしれない、誰かに気づいてもらえるかもしれない…

するとある日、本をお知らせしてくれる人が次々とあらわれたのです。

 

気がつくと、過去2回とあまり変わらない数のタイトルがこの冬も集まり、絵本、文庫、学習漫画、単行本など全部で22冊の本を購入し、本日(12月13日)、無事に都内の児童養護施設にお届けすることが出来ました。

 

私がこの企画でいつも決めているのは、かならず本屋さんと本屋さんが関係しているネット書店で作品を買うことです。

大手の通販サイト、中古市場で購入するのではなく、街の本屋さん、新刊書店とそこで働く書店員さんにきちんと利益が渡って欲しいと思っています。

 

児童養護施設で生活する子どもたちに、見知らぬおとなの人たちが自由に選んだ本をゆったり楽しんでほしい、クリスマスをみんなで自由に楽しく過ごしてほしい…そんな願いをこめて。

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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スマイリーキクチさんのこと

お笑い芸人のスマイリーキクチさんとのご縁を今回は書きたいと思います。

 

スマイリーキクチさんは、お笑いタレントとして活動していた1999年、ネット上で全く身に覚えのない殺人事件の犯人であるというデマを流され、その後長きに渡って、誹謗中傷や脅迫を受け続けてきました。

キクチさんは被害を警察に相談しましたが、捜査は進まず、匿名による誹謗中傷は酷くなっていきます。

それでも決して諦めずに、警察署の刑事課を訪ねたことで捜査が大きく進展し、中傷、脅迫した人物たちの身元が特定され、一斉摘発されました。

 

現在キクチさんは芸能活動を続けながら、一般社団法人を設立して、インターネットの危険性や対処法、人権・情報モラルについて発信する活動をされています。

10月21日、そのキクチさんの講演を埼玉県の朝霞市で初めて聴く機会に恵まれました。

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スマイリーキクチさんを生で見るのは実は2回目になります。

初めてその姿に間近に接したのは、昨年2021年の9月。木村響子さんの講演の会場でした。

 

木村響子さんには娘さんがいました。プロレスラーの木村花さん。花さんはSNSで無数の誹謗中傷を受け、2020年の5月、22歳で自らその命を絶ちました。

木村響子さんは花さんの死後、NPO法人を立ち上げ、誹謗中傷を終わらせるための活動・講演、そして裁判の準備を進めています。

板橋区成増でおこなわれた講演に足を運ぶと、そこにスマイリーキクチさんが来ていたのです。

芸能界に疎い私は、キクチさんが長年受けてきた被害のことをその時からようやく知ることになりました。

 

キクチさんの講演で、心にとても深く刻まれた言葉は、自分を誹謗中傷した人間に対して、報復をするのではなく、自分自身が幸せになることが仕返しになるのだ、というメッセージでした。

講演終了後、池袋のジュンク堂でキクチさんの中傷被害の実体験を綴った著書を買い求め、翌日Twitterで、講演に行ったことを書き記しました。

 

すると、キクチさんご本人からリプのコメントが届いたのです。

とても嬉しく感じるとともに、そのコメントはぜひたくさんの方に読んでもらいたい内容だったので、思いきってご本人に返信し、紹介してもよいか尋ねてみました。するとすぐにお返事が来て、承諾をいただきました。

このブログでも、あらためてその時のリプをご紹介いたします。

 

「講演会に足を運んでくださり、ありがとうございました。

今も中傷や嫌がらせは続いていますが、自分が幸せになることが最大の仕返しだと思っています。

スマホSNSを人の傷つけるツールにしないように、今後も子どもたちに伝えていきます。

お心遣いに感謝申し上げます。」

 

とても丁寧な言葉遣いにご本人の人柄が滲み出ていました。

ネットの誹謗中傷の問題に対して強い怒りを感じ、木村花さんの自死に深い悲しみを抱いていた者にとって、スマイリーキクチさんとSNSで直接やりとりが出来たことは、単なる偶然には思えませんでした。

 

社会に生きる1人の人間として、誹謗中傷の問題にどう向き合っていくのか、自分に出来ることは何か。

まずひとつは、自分の発する言葉、行動に責任を持つこと。

スマイリーキクチさん、木村響子さんの活動をこれからも応援しながら、じっくりと考え行動していきたいと思います。

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『突然、僕は殺人犯にされた〜ネット中傷被害を受けた10年間』

スマイリーキクチ・著  竹書房文庫

 

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喜々津博樹

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ひきこもりの講演をおこないました

ひきこもりについてのオンライン講演を9月の末にさせていただきました。

ご依頼があったのは、西多摩社会福祉士会という地域の団体です。

あきる野市地域包括支援センターを訪れた際に、会の事務局長をされている職員の方から、ひきこもりの8050問題などについてお話をしてもらいたい、というご相談をいただきました。

 

西多摩社会福祉士会は、東京の西多摩エリアの社会福祉士の資格を持つ方々が集まる会で、月に1回、例会と称してさまざまな研修会を20年以上前から開催しているそうです。

社会福祉士として支援職に就きながら、ひきこもりの相談を受けることもあるそうで、ひきこもり支援をしている私に声をかけていただきました。

 

例会は今はオンラインでの開催が多いとか。私はひきこもりの家族会などでお話をさせていただくことはありますが、オンラインでの講演はめったにないので、画面に出す資料はどんな形式がいいのだろうか?…そんな初歩的なところから準備が始まりました。

 

講演をおこなう時にまず考えるのは、内容の構成です。テーマ、タイトルを決めたら、項目を考え、話す順序、進め方を考えていきます。

今回はひきこもりへの理解とカウンセリングを身近に知ってもらうことをテーマにしました。

 

講演ですから、おさえておくべき基本的な知識や正確な情報、データなども必要になるだろうと思い、自分の活動にさらに肉付けをして補強となるような参考書籍を購入し、まずはそれらの本や資料を読み込んでいく時間を作りました。

昼間に営業をして、夜や休日に準備の時間を作ることも出来るかもしれませんが、講演までの日にちが1ヶ月弱とやや短いこともあり、日中も読み込みと資料の作成に時間を当てました。

カウンセリングの予約や訪問が入らない時はなるべく営業に出たいし、回るところはいくらでもあるのですが、疲れて帰ってきて、さらに夜に講演の準備をする余力はなかなか残っていません。

 

当初はひきこもりとカウンセリングの2本柱でお話をする予定でしたが、原稿を作っているうちに、約1時間の講演では、ひきこもりについてお話するだけで時間が埋まってしまうと予想しました。

そこで事務局長にご連絡して、すでにお伝えしていたタイトルを変更させていただき、今回はひきこもりの支援を中心にお話することになりました。

自分が普段おこなっている活動を、守秘義務を守りながらなるべく具体的に紹介する形で資料を作り上げていきました。またこれまで支援で味わった挫折や失敗も、講演では正直に話したいと思いました。

 

9月29日の夜、Zoomでのオンライン講演が始まりました。会員の方々が広域で集まり、参加者は15名ほどでしょうか。

事務局長以外はまったく初めての方ばかりで、画面上で挨拶を交わします。

私が今回決めたタイトルは「ひきこもりへの理解とあたたかな支援をつづけるために」。

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画面共有で使う資料は、PDFにしました。

私がただ話すだけでなく、冒頭と終盤の方に、参加者も発言してもらう時間を設けてみました。

最初は画面を気にして恥ずかしい気持ちもありましたが、参加者になるべくわかりやすいように話をしていると、いつの間にか時間の経過を忘れてしまうほど夢中になっている自分がいました。

結果的に1時間半近く喋ってしまいました。

最後はいくつか質問などもいただき、講演が終わったのは21時を過ぎていたでしょうか。

 

終わってみて、もっとこうすればよかった、ああすればよかった、という反省は尽きないのですが、とても貴重な経験となりました。

オンライン講演に対する免疫が1つついたように感じましたし、社会福祉士会の方々との新しいご縁が出来たように思います。

 

ひきこもりについてのお話、支援の実際を語る機会をこうしていただくことで、ひきこもりについての理解を世間に少しでも広めていけたらと思っています。

 

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喜々津博樹

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いのちをつなぐカウンセリング

夏の終わり、いのちをつなぐための無料のカウンセリングをおこないました。

夏休みが終わり、多くの学校の2学期が始まる9月1日、この日本では18歳までの子どもたちの自殺が突出して増えている現実があります。

学校にまた行くのが死ぬほどつらい、もう登校したくない、いじめられたくない、でも誰にも、家族にも相談できない…

この9月1日に子どもたちが自らの命を絶つのは、そんな絶望的な気持ち、誰にも打ち明けられなかった苦しみがあります。

 

小学生から高校生までの児童生徒の自殺は、ここ数年は年間およそ400人から500人近くにのぼっています。

また、15歳から34歳までの若者の死亡原因のトップが自殺であるという国は、主要先進国(G7)の中では唯一、日本だけです。

それほどまでに子ども、若者の自殺率が高いこの日本では、自殺対策基本法が作られ、いくつもの無料で相談できる機関、サイトが開設されています。

しかし、そのような無料の相談機関は、なかなかつながらないという声をとても多く耳にします。

なぜ繋がらないのか。その理由はいくつか考えられます。

ひとつには、相談する人、件数があまりに多く、対応できる人数が追いついていないこと。

そして、相談機関は民間・個人も含めて全国にいくつもありますが、厚生労働省を始めとする公的機関のサイトには、そのごく一部の機関、団体しか見出しでは記載されておらず、結果的にそれらの一部機関にアクセスが集中して、つながりづらくなっているように思われます。

他にも理由はいくつか考えられますが、その繋がらないという現状に対して、私はカウンセラーとして、一市民として個人で出来ることはないかと考えていました。

そして、夏休みが終わる8月31日と学校が始まる9月1日の2日間、無料のカウンセリングをオンラインでおこなうことにしました。

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個人活動なので対応できる人数、回数は限られていますが、私がまず考えたのは、予約制にして時間を決め、かならずつながれることです。

カウンセリングの時間は60分。予約のキャンセルも可能だし、オンラインなので顔出しも自由に選ぶことが出来て、文字によるやりとりもOK。なにより利用の自由度と確実性に重きをおきました。

発信はTwitterFacebookを活用し、一週間ほど前から毎日告知をしていきました。

とても嬉しかったのは、私の告知投稿を拡散してくれた方が何人かいらっしゃったことです。活動に賛同し、応援してくれる方がいる…それを目に見える形で教えてくれました。

予約がぽつぽつと入ってきましたが、なかなか枠は埋まらず、無料とはいえ個人では届きにくいのかなと思いましたが、カウンセリング当日になって連絡が入り、結局6名の枠がすべて埋まることになりました。

ご利用いただいた方は、大人の方が多く、想定していた子どもたちからの相談は今回はありませんでした。

しかし、このような活動は機会を作って地道に取り組んでいくことに意義があると思っています。

子どもも大人も、この社会で追いつめられて自死を選ぶ人が、1人でも踏みとどまってもらえたら。

そのために自分が今ここで、できることはなんだろう…

そんな問いに向き合いながら、日々活動していきたいと思います。

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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