ひきこもり訪問支援 ぱすてる

自分らしく生きるためのカウンセリング

夏休みに本を贈る

児童養護施設の子どもたちに夏休みに本を楽しんでもらいたい…そんな気持ちで、本をお届けする企画を考えました。

 

私はかつて児童書の出版社に営業として勤めていたことがあり、本の世界が大好きなので、よく本屋さんで絵本を買ったり、作家さんのサイン本を購入していました。

それらすでに読み終えた本を、蔵書として部屋の本棚に大切に置いていましたが、自分で所有するだけじゃもったいない、広く子どもたちに手にとってもらおう、ふだん本がなかなか買えない方の手に渡る方法はないだろうか…そんなことを考えるようになりました。

冊数が増えてきて、もう本棚には置ききれなくなってきた事情もあります。

 

そして児童養護施設の存在が頭に浮かんできました。そこで暮らしているのは、およそ18歳までの子どもたちで、日常的に親から本を買ってもらうことが出来ません。

そんな子どもたちに本をたくさん楽しんでもらおう。

そう思い立ち、自分の住む地域の児童養護施設に連絡をとり、数年前から本を送るようになりました。

やがて、施設の子どもたちには読み終えた中古の本ではなく、新品の本を読んでもらいたいな、新刊をお届けしたいなと思うようになりました。

 

そこで思いついたのが、SNSの活用です。自分だけで本を選ぶのではなく、色々な方が参加して自由に選んだ方が面白いんじゃないか、さまざまなタイプの本が集まるのではないかと思ったのです。

昨年のクリスマス。

初めて、Twitterを通じて「あなたが子どもたちに楽しんでもらいたい本のタイトルを教えてください」と呼びかけると、全国の方々から連絡が次々と来たのでした。

そのタイトルを私が本屋さんで見つけて購入し、冬休み前に施設にお届けすることが出来ました。

 

そしてこの夏。

第2弾をと考えましたが、今回はこれまでお届けしてきた施設ではなく、都内の別の児童養護施設に連絡を取ってみました。

初めてメールを送ったのですが、すぐに担当の方から返事が来て、快諾していただきました。

6月下旬にTwitterで呼びかけると、フォロワーの方々から早速反応をいただきました。

前回のクリスマスの時にも参加してくれた方、初めて連絡をくれた方…実にさまざまな地域、さまざまな属性の方々が、子どもたちに楽しんでもらいたい本のタイトルを教えてくれたのです。

中には、これを一緒に届けてほしいと、本そのものを私宛に送ってくれた方もいらっしゃいました。

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この企画では、私がこだわっていることが一つあります。それは、教えていただいたタイトルを大手の通販サイトに注文するのではなく、本屋さんで購入することです。

店頭ではなくネットで買うにしても、かならず本屋さんが運営するサイトで購入すること。

本屋さんとそこで働く人たちにこそ利益が渡って欲しい、これ以上本屋さんがなくなってほしくない、願うだけではなく、自分で実際に行動をおこしたい、という気持ちがあります。

 

7月の半ば、夏休みに入る前に、集まった本を施設に無事にお届けすることが出来ました。

参加していただいた方には深く感謝いたします。この企画は、夏休みとクリスマスの年2回、恒例行事のようにこれからも楽しく続けていけたらと思っています。

子どもたちが自由に、ゆったり本を楽しむ姿を想像しながら。

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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石川清さんのこと

ひきこもりの支援を長い年月されていた石川清さんが、先月お亡くなりになりました。

50代の後半というご年齢で、あまりの突然の訃報に耳を疑いました。

私は石川さんご本人にお会いすることは結局できませんでしたが、そのお名前は、今の支援の仕事を始める当初から聞いていました。

 

ひきこもりの本人が暮らす家庭を個人で訪問し、継続して支援にかかわっていく…私がカウンセラーとして、ひきこもりの支援をするために考えた活動スタイルを、もうすでに20年以上前から実践されている方がいる…それがまさに石川清さんだったのです。

石川さんはその訪問支援の内容をご自身の本にも著していますが、私が知った時その本は入手困難となっており、仕方なく中古本を高価で買いました。

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『ドキュメント・長期ひきこもりの現場から』

石川清・著(洋泉社・絶版)

この本を読むと、石川さんが当事者にどんな訪問をされてきて、どう向き合ってこられたのか、どんな考えを持って活動されていたのかがとてもよくわかります。

石川さんのひきこもり支援は、公的な機関や民間団体の支援とは明らかに異なる特徴がいくつもありました。

 

まず、どこの機関にも属さずに一個人でおこなっていること。

それは、助成金などを受け取らず、制約を受けないで自己資金で自由に活動を続けたいという理由からで、訪問する家庭は、長期化、重篤化したケースが多かったそうです。

次に、愛車のクルマを駆使しての長距離移動による訪問支援であること。地元の埼玉を中心とした関東全域、さらには東北、関西、九州、沖縄にまで足を運んでいたとか。

 

そして石川さんの支援の最大の特徴が、本人と一緒にアジアを中心とした海外に飛び、そこで自由な旅をすることでした。

集団のツアーではなく、ふたりだけの自由旅行。

現地で計画はほとんど立てずに、その場で決めていくやり方。自分自身で決断して、自由に行動する感覚・体験が、心身の成長に絶大な効果があることを著書の中で語っています。

石川さんと一緒にアジアを旅した30代の若者が、その旅をきっかけに親への依存から抜け出し、ひとり暮らしを始めて自活するようになり、それがクチコミで広がっていったそうです。

なぜアジアなのか。石川さん自身が少年時代にフィリピンで生活し、学生時代も休学してフィリピンのスラムでホームステイをしたことが大きく影響しているようです。

 

石川さんの支援に対する考え方で、私もまったく同じ考えだと思ったのが、いわゆる「引き出し屋」と呼ばれる暴力的な支援組織のおこなう強引な手段をとらずに、本人を中心にして解決につなげていこうとする姿勢です。

暴力的、抑圧的な介入は、本人はもちろんその家族にも取り返しのつかない問題を生じさせる危険があり、人権問題としても許されない蛮行であると思います。

石川さんが長きに渡っておこなってきた支援は、本人と固い信頼関係をつくり、密にかかわり続け、本人が元気で幸せな人生を送れるようになるために、寄り添っていくことでした。

訪問件数は多い時には年間800回から1000回におよび、月におよそ2000キロを車で移動していたそうで、その驚異的な行動と実践に敬意を払うとともに、お体にはかなりの負担がかかっていたのではないかと察します…

 

最後に、著書に書かれたこの文章をご紹介して、石川清さんを心から追悼したく思います。

「いちばんの問題や課題があるとすれば、それはひきこもりの当事者の側ではなく、やはり社会の側のひきこもりに対する理解のなさ、そして人間に対するリスペクトのなさではないかと考えている。」

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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からふらっとという居場所

ひきこもり支援の活動をしていて、私がよく参加しているのが、地域の家族会です。

ひきこもりのお子さんを持つ親や兄弟姉妹の方々が集まる会ですが、ひきこもりに近い状態だったり、生きづらさを抱えた方が、その家族会に参加していることもあります。

 

私がよく顔を出している東京・国立市の家族会にも、そんな当事者性を持った人たちが来ていました。

そして、その人たちが同じ国立市で居場所活動をしており、それが「からふらっと」という名前の居場所です。

 

居場所は日本各地に作られていて、そこに出入りするのは、主に当事者や経験者、生きづらさを感じている人たちです。病気を抱えて療養中だったり、回復途上の方もいます。働くことはまだ出来ないけれど、自分と同じような人とつながりを持ちたい、バイトをしているけれど、居場所に安心感や安全を感じている人が、自由に利用できる空間です。

 

私のような支援者の立ち位置にいる者は、運営側でない限り、居場所に入りにくいのですが、からふらっとの世話人をしている人たちとは家族会を通じて、ご縁が生まれました。

当事者の人たちとじかにふれ合い、生の声を聴きたい…そんな気持ちで、からふらっとに参加したいと伝えたら、こころよく受け入れてくれました。

 

国立市のひきこもりの事業は、社会福祉協議会がその中心を担っていて、家族会、親の居場所、そしてからふらっとの運営窓口になっています。

活動場所は社協が整備をして、福祉会館や市内の農園を開放し、からふらっとのメンバーは、定例会をおこなったり、農園での栽培、収穫作業に汗を流しています。

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私は月2回開催される定例会にたまにお邪魔するようになりました。

平日の午後、和室の広いスペースで、自由に過ごすことが出来ます。

雑談をするもよし、本を読んだり、寝転ぶもよし、社協の職員(コミュニティソーシャルワーカー)の方もいるので、個別に相談をすることも出来ます。メンバーが企画したワークショップを開催することもあるとか。

 

まだ数回しか参加していませんが、私が驚いたのは、参加者の多さと、かなり遠方から来ている人が結構いることです。

年齢層は幅広く、女性の参加者も多くて、親子で参加したり見学に来ている方々もよく見かけます。

とにかく賑やかで、声が部屋に響きわたり、みんな自分たちの居場所として楽しんでいる様子がよくわかります。

初めて来た人には、常連の人がスッと横について話し相手になる光景が見られます。そして、世話人の人たちが全体に気を配り、声をかけて動いています。

 

私もカウンセラーや支援者という立場などすっかり忘れて、同じ仲間として利用し、楽しませてもらっています。からふらっとにやって来る人は、ゲームをするより、会話を楽しみたい人が多いのかなと感じています。

ひきこもり経験者の人たちに触れてハッとするのは、澄んだ綺麗な瞳をしている方が多いことです。社会の余計な空気に触れていないからか、とても純粋な心を持った人によく出会います。

 

それぞれ色々な悩みを抱えながらも、自ら居場所を求めてやって来る人たちと、ひとりの仲間としてこれからも触れあっていけたらと思います。

 

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傾聴カウンセラー 喜々津博樹

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青木ヶ原樹海をたずねて

4月28日、山梨県青木ヶ原樹海を歩いてきました。

青木ヶ原樹海は富士山の北西部に位置する広大な森林地帯です。

太古からの原生林に覆われた、とても美しい森ですが、自ら命を絶とうとする人が独りで訪れる地でもあります。

 

昨年2021年の都道府県別の自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)で、一番高い県はご存知でしょうか。

警察庁が発表した、昨年の死亡発生地による自殺率のトップが、青森県山梨県でともに23.7人でした。(東京都は16.3人)

山梨県は発生地ベースによる自殺率では、毎年高い数字が出ており、それは富士河口湖町鳴沢村にまたがる青木ヶ原樹海で命を絶ち、そこで発見される人たちが毎年いるからです。

 

私が樹海での自殺に強い関心を抱いたのは、忘れもしない今から12年ほど前、NHKの番組で、樹海での自殺防止活動が特集され、自殺未遂をした男性が駐車場で警察に保護されている様子を垣間見た時でした。

パトカーの座席に腰かけ、首をうなだれ、警察官に恫喝されている男性の、モザイク越しの姿が今も目に焼きついて離れません。

 

樹海の自殺者があまりにも多いことを受けて、地元の自治体、関係機関が動き、毎日巡回や声かけの活動をしていることを知りました。

私もカウンセラーとして活動を始める中で、まずその根幹にしたいと思ったのが、自殺を未然に防ぐ、いのちをつなぐ活動を実践することでした。

 

樹海を訪れるのは今回で3回目になります。

東京でレンタカーを借り、中央自動車道を走って鳴沢村富岳風穴の駐車場に車を停めます。

ここには樹海への遊歩道の入口があり、しばらく歩いていくと原生林の中に一本道がずっとのびています。

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もし、それらしき人に出会った場合は声をかけ、会話を交わし、話を聴きます。拒まれたり、無視されるケースだってあるかもしれません。

そして状況によっては具体的な行動、支援が必要になるかもしれません。

私が樹海を歩く理由はそれだけではありません。この静寂に包まれた、あまりにも美しい原始の森をゆっくりと歩き、その自然の懐に身を置いていたい、じかに触れていたいという思いがあります。

 

今回も半日、遊歩道を歩き、時に道を外れて苔むした溶岩台地の上を歩いてみましたが、滞在時間中に企図者に出会うことはありませんでした。

帰路は富士五湖のひとつである西湖のほとりの温泉に浸かり、ゆっくりと下道を走りながら、東京に戻りました。

この活動は季節を変えながら、これからも定期的に続けていきたいと思っています。

 

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ゲートキーパー養成講座を受けて

2月末から3月初旬にかけて、地元の練馬区で催された「ゲートキーパー養成講座&フォローアップ研修」に参加しました。

ゲートキーパーの講座は、自殺防止をカウンセリング活動の原点にしている自分にとって、ぜひ参加したいと思っていた講座で、そのタイミングをこの春にようやく掴むことが出来ました。

 

ゲートキーパーとは「いのちを守る門番」、つまり自殺を未然に防ぐために、悩みを抱える人に身近に寄り添い、支援する人のことです。

海外でも自殺対策として広く使われている言葉ですが、日本では厚生労働省をはじめとして、主に行政・公的機関で使われている言葉で、まだまだ一般に浸透している感じはしません。

ゲートキーパーは資格や職業名ではなく、また支援に携わる人だけが名乗るものでもなく、誰でもその内容と役割を知り、ゲートキーパーとして行動することができます。

 

日本では、2006年に自殺対策基本法が制定され、自殺が個人だけの問題ではなく、心理的に「追い込まれた末の死」であり、社会の問題であることを国が明確にしています。

2007年には自殺総合対策大綱が作られ、その中にゲートキーパーの養成も施策として掲げています。

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今回私が参加した練馬区の講座は、2回にわたり行われ、初回は入門編として、ゲートキーパーの具体的な役割、傾聴の基本を簡単なワークで学びました。

2回目は実践編(フォローアップ研修)として時間を拡大し、事例の紹介やゲートキーパーとしての心構え、対応方法を学び、少人数でのロールプレイもおこなわれました。

 

自殺対策については私自身、さまざまな本や資料に日頃から目を通していますが、このような講座に参加するメリットは、まだまだ自分が知らなかった知識や情報に触れることが出来て、ネットではわからない生きた知見を得られることでしょう。

とても身になる体験でしたが、行政の講座ということもあり、平日昼間の開催、参加者の大半はご年配の女性であり、若者・男性が非常に少ないことは気になりました。

 

2021年の1年間に日本で自殺で亡くなった方は、21,007人。毎日60名近くの方が自ら命を絶っています。

対して、交通事故で亡くなった方は、2,636人。自殺者の約8分の1です。

 

ゲートキーパーは、専門家ではなく誰もがなれる、この社会にとても身近で必要な人間です。

あなたもぜひ、ゲートキーパーに。

 

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自分と深く向き合う時間〜カウンセリング体験記のご紹介・第6回

ぱすてるのカウンセリングをご利用された方が、ご自身のセッションについて綴る「カウンセリング体験記」。

第6回目となりますが、カウンセリングをリピートしてご利用されていた方が、文章を寄せてくれました。ぜひお読みください。

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全てを否定せずに受けとめて聴いてくださり、話していて安心感がありました。

私は、普段の生活の中で相手と会話する際、これを言っても大丈夫かな?と何を言うにも頭の中でまずは考えてしまうのですが、喜々津さんとのカウンセリングの時間は何を話しても大丈夫だと安心して気持ちを吐き出すことができました。

普段誰にも言えないようなこと、自分でもこんなに話したのいつぶりだろうと言うくらい話してしまったなと自分自身感じるほどでした。(笑)

だからこそ、自分はこんなことを感じていたんだ、悩んでいたんだ、こんなにも苦しかったんだ、と自分を振り返り深く向き合える時間になりました。

上辺の言葉ではなく、私のことを思って、寄り添いながらひと言一言を丁寧に話してくださる印象があり、とても嬉しかったです。

また、驚いたのは、前回のカウンセリングの内容を細かく残してくださっていたことです。

自分でも忘れていたことを記録に残してくださっていたおかげで、過去と現在の変化がわかりました。

記録を振り返りながらのカウンセリングも、より実りある時間になりました。

 

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どうもありがとうございました。

この体験記は、守秘義務によって開示できないカウンセリングを、クライアントご本人が語ることで、より身近に感じてもらおうと企画したものです。

カウンセリングがどんなものなのかを知る機会のひとつになれば、幸いです。

 

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気持ちを言葉で伝えようとすること

先週、地元の練馬区春日町で開催された「生きづらさ当事者たちとの本音(ガチ)トーク」に参加しました。

15歳から49歳までの就学や仕事に就いていない人たちの支援機関である、ねりま若者サポートステーションの利用者が、地域の人たちに向けて自分たちの体験や思いを語るイベントで、昨年に引き続き、第2回目の開催でした。

 

今回登壇されたのは、ひきこもりの経験や生きづらさを抱えて生きてきた4名の若者たちで、うち1名は職場でコロナウイルスの感染者が出たため、急遽音声での参加になりました。

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ひとりずつマイクを握り、ずっと立ちっぱなしで用意してきた原稿を手に持ちながら、話してくれました。

具体的な内容はここに記すことは出来ませんが、これまでのつらい体験、不登校、親子関係、その時々に感じてきた気持ちを自分の言葉で表現し、初めて会う人たちに一生懸命に伝えようとしている姿がとても素晴らしいと思いました。

登壇した人の中には、うまく伝えられずに短い時間で終了したり、質問によく答えられない人もいましたが、それもひとつのかけがえのない体験になっていくのでしょう。

 

今回登壇されている方から、参加者に向かって、思いがけない問いかけ、自分たちの今の社会を根本から見つめ直すような発言もありました。

 

私はひきこもりや生きづらさに寄り添う活動をしていて、このような地域のイベントに関心があって参加しましたが、仕事で来ているという感覚はなく、1人の市民、同じ人間として、今を生きる若者たちの本音、気持ちに触れていたい、あたたかく寄り添っていきたい、という感覚でした。

 

またぜひ参加したい、さまざまな多様な人たちの声を聴きたいという思いを胸に、会場をあとにしました。

 

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クリスマスに本を贈る

児童養護施設で暮らす子どもたちへ、クリスマスに本をお届けしたい。

秋の終わり、そんな思いが湧き上がりました。

中古品ではなく、新品の本を子どもたちに手にとってもらいたい。

これまで、私が読み終えた絵本や買い集めたサイン本を都内の児童養護施設に送っていたのですが、今年は本屋さんで購入した新品の作品を送りたいと思ったのです。

 

それなら私が1人で選ぶのではなく、色々な方がお薦めする書籍を集めた方が面白いんじゃないか、さまざまな作品が集まり楽しそうだ、とひらめきました。

早速Twitterで、クリスマス企画と題して「あなたが子どもたちに楽しんでもらいたい本のタイトルを1冊教えてください」と投稿しました。

対象年齢は4歳から18歳。書籍は、絵本、図鑑、読みものなど。

すると、わずか2日間のうちに10名以上のフォロワーの方々からリプやDMでご連絡をいただき、おすすめの本をご紹介いただきました。

中には、この本を届けてほしいと、自ら本を2冊ご購入されて私に託してくれた方もいました。

 

ご紹介いただいた本のリストを作って、書籍を買い求めます。

私がこの企画で決めていたことは、大手の通販サイトではなく、町の本屋さんや本屋さんが運営するネット書店で購入することでした。

本屋さんで働く人たちに少しでも利益が渡って欲しい、本をまとめて購入することで、たとえわずかでも経済を回していきたい、という気持ちがありました。

 

私が購入した先は、東京の神保町にある児童書のお店、ブックハウスカフェ。絵本関連の専門サービスをネットでおこなっている絵本ナビ。そして全国に実店舗を展開している、hontoネットストアと紀伊國屋書店webストアです。

それらで買い求めた新品の書籍を、都内に昔からある児童養護施設に宅急便で送らせていただきました。全部で26冊になりました。

集まった本は実に多彩で、絵本、童話、学習マンガ、小説、自伝といった、子どもたちが何度でも繰り返し楽しめそうな作品ばかりで、私が知らなかったタイトルも多くありました。フォロワーの方々に選んでもらってよかったとつくづく思いました。

企画に参加してくれたお一人の女性からは、趣味で描いているという「笑い文字」のハガキを子どもたちに渡してほしいとのお申し出があり、一緒に同封させていただきました。

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後日、お届けした施設に初めてご挨拶に伺いましたが、プライバシー保護のために、その施設名と所在地、外観をSNS上ではお伝えすることが出来ないのが残念です。

児童養護施設で生活している子どもたちは、さまざまな理由で実の親とは暮らせない子どもたち。

子どもによっては、その暮らす場所を決して親に知られてはならないという現実があります。

 

今回の企画に賛同して参加いただいた方には、あらためて感謝の気持ちでいっぱいです。施設の職員の方々もおっしゃっていましたが、お会いしたことのない方々からの、とてもあたたかい気持ちを受け取り、クリスマスのシーズンに子どもたちにお贈りすることが出来ました。

このようなささやかな企画をこれからも定期的にしていけたら、と思っています。

 

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富士の樹海を歩く

先日18日、山梨県の富士山麓青木ヶ原樹海をおとずれてきました。

樹海を訪ねた目的は、この地に自殺をしようとやって来た人に声をかけるためです。

私が富士樹海の自殺に関心を強く抱いたのは、もう10年以上前になるでしょうか、樹海での自殺者が多くなっており、地元の人たちが声かけなどの防止活動に取り組んでいる様子がNHKの番組で紹介されたのです。

その時の、自殺未遂で警察に保護されたひとりの男性の、パトカーの座席に座り、モザイク越しのうなだれた姿が目に焼きついて離れませんでした。

 

今も地元の自治体が、毎日パトロールをしているそうですが、カウンセラーとして、いのちをつなぐ、自殺の未然防止活動をしている身として、自分も現地に向かいたいと思いました。

以前に訪ねたのが2019年の年末。その後コロナが広まり出し、なかなか訪れる機会を得られずにいましたが、感染者がようやく減ってきた今、行動を起こそうと思いました。

東京からはレンタカーを借りて、中央自動車道を河口湖インターで降り、鳴沢村へ向かいます。

今回は、最初に野鳥の森公園の駐車場に車を停めて、そこから延びる遊歩道をまず歩いてみました。

静かな森の道ですが、しばらく行くと中学生の集団に何度もすれ違い、賑やかになりました。あたりは溶岩が織りなす原生林の森ですが、人が多くなると雰囲気がまったく変わります。

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1時間ほど歩いて駐車場に戻り、一路、前回も車を停めた富岳風穴に移動しました。

富岳風穴にはバス停、売店、広い駐車場があり、いわば樹海に入るゲートのような場所で、平日でも観光客の姿が見られました。

入場料を払う風穴の入口を横目に、樹海の遊歩道を進んでいきます。

しばらく歩くと、まったく人の気配はなくなり、静寂そのものの森の中を進むようになります。

私はこの雰囲気こそ、青木ヶ原樹海本来の姿なのだといつも感じます。

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あたりは苔に覆われた起伏のある溶岩台地と背の高い原生林がずっと広がっています。

この静かな一本道を、これまでどれだけの人が死のうと考え、ひとり歩いていったのだろうと思いを巡らし、立ち止まっては耳を澄ませていました。

時折、歩道を外れて森の中に足を踏み入れてみましたが、どこまでも奥に広がっている誰もいない空間に身を置くと、やはり怖くなって、引き返したくなります。

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この日はそれらしき人に出会うことはなく、駐車場に戻り、帰路は富士五湖の西湖、河口湖のほとりを走りながら、夕暮れの富士山を眺めつつ、東京に帰りました。

また季節を変えて、樹海には定期的に訪れたいと思っています。

 

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対面カウンセリング再開&料金改訂のお知らせ

この10月1日から、対面カウンセリングを久々に再開することにしました。

また、オンライン・カウンセリングについては料金を見直し、値下げすることにしました。

 

対面については、ひきこもり支援の活動においてはすでに対面での面談はおこなっていたのですが、以前カフェでおこなっていたカウンセリングは、コロナウイルスの感染予防のためにずっと休止していました。

今回の緊急事態宣言の解除を受けて、正式に対面でのセッション再開に踏み切りました。

場所は、しばらくは豊島区・池袋駅近くの静かなカフェを予定しています。

最近はレンタルスペースも増えてきているので、カウンセリングに適した個室の部屋が見つかったら、場所を替えるかもしれませんが。

カウンセリングは、クライアントと身近に向き合い、その仕草や表情、身振りにじかに触れて波動を感じることで、クライアントへの理解をより深めることが出来ます。

対面カウンセリングがカウンセリングの基本であることに異論はありませんが、ただ現状ではマスクを着用することが前提になるので、お互いの表情が見えづらいのは、非常にやりにくさも感じます。

その点、オンラインにはマスクを必要としない良さがあることに気づきました。

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オンライン・カウンセリングの長所は、場所、地域を問わず、遠方の方ともつながることが出来ること、移動時間がないこと、そして顔を出すのが苦手だったり、対面恐怖を感じている方でもカウンセリングを利用しやすいことでしょう。

今までずっと、対面とオンラインの料金を同じにしていたのですが、この対面再開を機に、オンラインは値下げをすることにしました。

オンラインにも長所があるとはいえ、クライアントをより理解するための環境は対面には劣り、音楽を機器で聴くのと生で聴くのとでは値段が変わるように、カウンセリングも対面よりは価格を下げようと判断しました。

ただカウンセリングは、オンラインでも対面でも、どちらもライブであることに変わりはないのですが。

 

そしてこれが一番重要なことですが、オンラインであれ対面であれ、カウンセラーのクライアントに対する態度、姿勢、カウンセリングの質はまったく変わらず、差などあってはいけないということです。

ただ、今回オンラインを値下げすることで、学生の方や病気で仕事に就けない方、生活保護を利用している方が、より利用しやすくなってくれたら、という思いがあります。

カウンセリングをより多くの方に身近に活用してもらうために、この秋も活動していきます。

 

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